Toru.09 ページ20
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その日は衝撃的なことばかりだった。
始まりはなんの変哲もない、普段通りの朝。
他の大学生より少し早めに起きて、朝練をし、一限へ向かった。
お昼のカツ丼定食は至って普通の味だったし、目の前に座る園美さんは相変わらず綺麗だった。
Prrr…
「…あら、ちょっとごめんね」
机の上に出しっぱなしだった携帯が、鈴のような音を出して揺れた。
画面を確認して席を立った園美さんに、取り残された俺。
はっきりと見えたディスプレイには、見覚えのありすぎる名前。
そういえば…いつだったか彼も俺の携帯の画面を見て、驚いた表情を浮かべてたっけ。あれってそういう意味だったのか。
「"花巻貴大"……」
あの日、居酒屋で園美さんが俺にかけてきた電話、ディスプレイには番号だけが光っていた。だってあの時俺はまだ園美さんの番号を知らなかったから。登録してなかったんだ。
でもマッキーはその番号を見て固まった。はっきりと記憶しているほど、あの番号が特別なものだったのだと、今なら分かる。
一体どういう知り合いなのかは知らないが、マッキーの反応からただの顔見知りってわけではなさそう。
画面の名前に釘付けで園美さんの反応を見逃したのが痛いな。
「ごめんね、私ちょっと…出てくる」
帰ってきた園美さんは食べかけのそばを返却カウンターへ戻し、颯爽と食堂を出て行った。先輩の話ではその後の講義にも出ていなかったらしい。
園美さんのいない体育館での夕練にもそろそろ慣れてしまいそうだ。
「…徹？大丈夫？」
ぼーっと駅までの帰り道を歩いていると、後ろから来たAに追いつかれてしまった。
後片付けをしていたAに追いつかれるとは、よほどダラダラ歩いていたらしい。
「あ、ううん…なんでもないよ」
つい癖で笑ってみせるけど、こんな作りもの、Aには通用しないんだった。
「そ？電柱に頭ぶつけるのはいいけど、事故とかにはあわないようにねー」
じゃあまた明日、と言って俺を抜き去って行く彼女。
こんな遅い時間に女の子1人で帰らせるなんて及川徹の名が泣くぞ、と追いかけようとした、けど。
Aは目の前の駅のロータリーに立つひときわ背の高い男に駆け寄っていった。
それが誰かなんて聞くまでもなくて、例えそこに街灯がなくてシルエットだけだったとしても、俺はそれが誰なのか当てることができたと思う。
「世界…狭すぎてどうなってんの…」
いっそ事故にでもあって、記憶喪失とかなれたら楽なのかな。
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radio-co.(プロフ) - 励ましのコメントありがとうございます！文庫化なんて畏れ多いです汗 言葉を大事にしすぎて一言一言が重苦しくなるのが欠点でして……。もう少しラフに書けるといいなー書きたいなーと思っています笑 これからも是非応援宜しくお願いします(／＼)＼(^o^)／ (2017年12月29日 16時) (
レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - どっどっどうもありがとうございます！(#^.^#) 文章力とストーリーの両方を誉めて頂けるなんて、これほど嬉しいことはありません！あやせさんのこの言葉を励みに更新頑張っていきますので、これからも温かく見守ってくださいね。 (2017年11月29日 17時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
あやせ(プロフ) - あっあっあの、好きです(語彙力) 引き込まれるストーリーと綺麗で丁寧な文章表現、本当にすごいなと思いました。これからも応援させていただきます…！！ 更新楽しみにしてます〜(*^^*) (2017年11月22日 16時) (レス) id: a236a20ef8 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - ユラさん» 大変な誉め言葉をありがとうございます！汗 更新が不定期で申し訳ありません。ここから皆の恋愛が動いていきますので、これからもどうぞよろしくお願いしますね。 (2017年10月2日 16時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ(プロフ) - 凄く大人っぽいのに読みやすくて、あっという間に夢中でした！やばいこれ超良作じゃん！とか言って一人で騒いでます笑。及川くん達のこれからがとても気になるので、更新、お願いします！！ (2017年9月26日 0時) (レス) id: 9a45404af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：phobia | 作成日時：2017年2月18日 10時
