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崇裕 side
それからAは無事面接に合格して、カフェで仕事を始めた。
9時から18時まで、キッチンで働いとる。
初めのうちは覚えることも多くて大変そうで、帰ってきたらあっちゅー間に寝とった。
それでも2週間もたてばもう慣れてきた様子で、夜も俺がおる時は一緒に飯食うたりしていろいろ話をしてくれた。
歳が近い従業員も多いらしく、賑やかで楽しそうや。
中には厳しい人もおるらしいけど、まあそれは仕事やから当たり前やしな。
生き生きと働いとるAを見とると充実しとるみたいで安心した。
そんな様子で月日は過ぎていき、3か月が経った頃、Aは部屋探しを始めた。
心配やったからいろいろ内見にも立ち会って、職場に自転車で通える範囲のところでええワンルームを見つけてそこに決まった。
必要最低限のものを揃えて、引越しの準備をして。
スマホはそのまま譲ることにした。
引越しの当日は俺も手伝った。大きい物で運び出すようなもんはなかったけど、細々としたもんでも1人では無理やからな、、。
車で引越し先のマンションへ行くときは、なんだか娘を嫁に出す親ってこんな気持ちなんかな、、と思ったりした。
、、なんて俺、結構寂しくなってるやん、と感傷的になってってる自分に笑えた。
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作者名:ふう | 作成日時:2022年11月30日 22時