初仕事 ページ30
｢卒業、そして、入社おめでとう！！！｣
香里奈さんの弾けるような声とともにグラスがあちこちでカチンと鳴る。
｢それ普通さぁ、CEOの俺がやつやつじゃない？｣
シャンパンを口にしながら愚痴を言う大野さん。
｢気にしない気にしない！きゃははっ！｣
大野さんの肩をものすごい力で叩きながら楽しそうに笑う吉高さん。
｢ちょっ、ちょっ、、CEOが痛がってます、｣
その手を阻止する加藤さん。
｢ニノさん、僕、入社祝いにパジャマ買ったんです！僕とおそろいなんで絶対着てくださいね♡｣
豪華なラッピングが施されたパジャマを渡してくるヤマ。
みんなそれぞれ個性があって面白い。
コップに注がれたシャンメリーを口の中で転がし、ゆっくりと食道に送り込む。
｢おまえ、いいやつ。｣
すると、加藤さんが急にそんなことを言い出す。
この時の僕は、加藤さんが人の心の声を聞くことが出来るなんて知らなかったから、なんの事だかさっぱり分かっていなかった。
けど、そう言われたことに対してはとても嬉しく感じていて、笑いながらありがとうございますとだけ言っておいた。
｢うわぁ、似合う似合う！｣
祝辞会も終わり、部屋に戻ってパジャマに着替える。
ヤマから貰ったそのパジャマは、シルク100パーセント使用で、肌に当たる感じが良い。
嬉しくて、鏡越しの自分をずっと眺めていると、ヤマが歯磨きをしながら入ってくる。
僕も一緒になって歯磨きをし、ヤマと少し雑談をしてから眠りについた。
って言っても、眠れはしなかった。
だって、これからのことが楽しみで不安で胸がうるさいから。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年8月27日 3時
