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早く高橋先生を解放してあげたいのもそうだし、悪徳なお偉いさんが通うあの病院にも居たくない。
学校から家(病院)に真っ直ぐ戻るのに気が引けて、寄り道をして時間を潰すことに。
｢二宮くん、これ、保湿効果あるから、良かったら使ってね！｣
｢二宮、お釣り要らねぇから貰ってくんね？｣
ぱぱ直伝のモテテクニックを使えば、女子も男子も俺に優しくしてくれ、保湿剤の入ってるマスクや、お金を簡単にゲットできる。
病名は言ってないものの、みんな、俺が病気だってことを理解してくれていて、優しく接してくれる。
おかげで今日は晩御飯になる唐揚げ棒を貰い、食べ物には困らなそうだ。
｢げほけっ、けほけほけほっ｣
かなり歩いた俺。
激しくなってきた咳。
商店街の道を数本奥に進むと、人通りのないビル街に出る。
使われていなそうなボロいビル。
そこの階段に座り、連続して出る咳で口をつけることが出来なかった唐揚げ棒を袋にしまい、ポケットから吸入器を取り出す。
シュッとして無理やり気管支を広げればだいぶ落ち着いて、酷使した胸を労わるように優しく摩る。
｢だいじょぶ？｣
いつから居たのか。
後ろを振り返ると、少し上の段に小柄な男性が座ってる。
このビルに似合わないキレイめなスーツを着て、タバコに見立てたココアシガレットを口に咥えてる。
立ち上がってゆっくりと階段を降りてくる彼は、細身だけど程よく筋肉がついてるみたいで、背の低さを感じさせないような体型だった。
｢だいぶ咳き込んだね〜、ここ、酸素あるけど吸入してく？｣
怪しい誘いだったけど、悪い人じゃなさそうな彼をすんなりと受け入れ、ついて行ってしまう俺。
｢香里奈ちゃん、お仕事ですよ〜｣
階段を登って、扉を開けると、とっても綺麗な部屋が待ち構えてる。
奥の部屋から背が高くてモデルのような体型の女性が出てくる。
｢ん？あ、そっちの？
君、こっちおいで、すぐ楽になるから｣
手首を掴まれ、中に連行される俺。
スライド式のドアをくぐると、病室みたいな景色が広がる。
｢ここね、前は内科クリニックだったのよ。でも経営不振で倒産しちゃって。
はい、これ、衛生的だから安心して使って｣
いくつかよく分からない発言をしてる彼女。
慣れた手つきで酸素吸入器を渡してくる。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年8月27日 3時
