【名探偵コナン】平和主義少女は記憶を失った [赤井秀一]

◇２４◇ ページ25

病院内の廊下に院長の話し声が響く。


院長「向坂さんの怪我の治りは順調です。ただ……」


問題は『記憶』だ。


院長「彼女は自分の名前、自分のこと、住んでいた場所、何があったのかなど様々な記憶を失っています。まだ思い出せないこともたくさんあるでしょう……」

ママさん「どうにかして記憶を取り戻す方法はないんですか?」

先生「そうですよ、何かあるんでしょう？」


ママさんと先生は必死だった。

もちろん、その２人の後をついてきた沖矢もだが。



院長「記憶を戻す方法は私にはさっぱり……こうゆう患者さんをもつのは初めてでして。」

ママさん「そんな……」

院長「ただ、脳に刺激を与えるような出来事があれば取り戻すかも知れません」

先生「その出来事って一体!?」

院長「それはわかりません……」


その言葉に2人は落ち込むことしかできなかった。

沖矢は1人だけ冷静だった。


沖矢「もし彼女の傷が治ったらどうなるんです？」

院長「え？あぁ、それは、記憶が戻っていてもいなくても、帰ってもらうということになってます。」

ママさん「そんな…うちはいま雇ってる子が住んでるし……」

先生「生徒を家に住まわせるわけには……」

院長「ですが、いつまでも入院させるわけには行きませんので……」

ママさん「どうしたらいいのかしら……」



みんながみんな、Aのことを思っていた。

Aのことを助けたい、と。


だが現実の壁はかなり厳しいものだった。



数分間沈黙が続いた。






沖矢「では…」





そんな沈黙を破ったのは沖矢だった。



そして、真剣な表情でこういった。









沖矢「私が彼女を引き取ります。」







その言葉に、その場に居合わせた人は驚きを隠せなかった。

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