PARACAGE 4th【ars】 (ページ8)

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113.さらけ出す。ページ8

「マジかよ...」

ハァァ...って、ニノくんが溜息を吐き出す。

「何か...ごめんなさい...」
「は？何で謝ってんの」
「え？だって、迷惑だと思うから...」
「何が迷惑なの？Aが誰を好きになろうが、オレに迷惑は何もかかんないけど」
「でも、溜息...」

ニノくんが「お前を心配してんでしょうが」って、私の背中をグーでポンッと叩いた。

「オレ、言ったと思うんだけどな」
「何を？」
「アイツの言う事、全部真に受けてたら心がおかしくなっちゃうよー...って」

...思い出した。
確かにニノくんは、私がここに越して来た初日にそんな事を言っていた。

「今のアイツに恋すんのは、正直無謀だと思うよ？」
「...うん、それは自分でも分かってるんだけど...」
「まぁ、だからって気持ちは止めらんないもんねぇ。悲しいことに、その気持ちはオレ分かっちゃう」

よいしょ、と後ろ体重だった身体を起こしたニノくんが私の顔を横から覗き込む。

「A」
「......」
「しんどいね」
「......」
「隣の部屋ってだけでもしんどかったでしょ」
「......」
「なのに、アイツ女連れ込むし。お前、よく耐えてたね」

改めてそう言われると、胸の中がザワザワして鼻の奥がツンと痛くて。

「バカな恋してんのな」

ニノくんに頭を抱き寄せられて、私の頭は彼の細い肩の上に乗った。

「いっぱい我慢したんじゃないの？」
「...でもそれは、仕方無いし...」
「何が楽しくて、そんな奴好きになってんの」
「...何が楽しいのかな...分かんないけど...」
「理屈じゃ無いもんね、いやになるね。いやになる」

ニノくんが、私の事を言ってるのか自分の事を言ってるのか、よく分からなかったけど

ふわふわと頭を撫でてくれてる掌は、とても優しい。

「時々、オレに甘えて良いよ」
「えー...」
「オレも時々Aの背中を貸して貰うってゆー契約結んだじゃん？」
「そんな契約結んだ覚えは無いんだけど...」

クスクス笑い合う。
ポンっと一つ、私の頭を叩いて彼は寄り添ってた身体を離した。

「ま、この事は内緒にしといてやるしそれは安心してよ」
「助かります...」

ニノくんが立ち上がってドアへ向かったから、私も一緒にそっちへ行く。

「あの...ありがとう」
「何が？」
「あー...カーテン！ありがとう！」
「ンフフ、どういたしまして。そこ、閉めとけよ？気取った奴がこっち見てて不愉快」

そう言いながら例の棚を指差したニノくんは、ケラっと笑って部屋を出て行った。