PARACAGE 4th【ars】 (ページ29)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:1,690,010 hit

134.プライベート。ページ29

「雑誌で見る咲くんって、クールだよね」

食後のアイスオレを飲んでるアカリが言う。

「雑誌はね」

同じく、アイスロイヤルミルクティーを飲んでる私が応える。

「普段はクールじゃないの？」
「全然。むしろ、陽気な人だと思う。あ、ほら、前にヒロシ君も言ってたでしょ？」
「あぁ、言ってた！え？ってゆーかそっか、あの時にはもう咲くんと一緒に住んでたって事になるの？」
「...うん、ホント黙っててごめんね...」

んー...と唸ってストローを咥えたアカリが眉間に皺を寄せて何か考えてる。
ドキドキする。隠し事してたんだ、怒られたって仕方無い。

「まぁ、言えないよね」
「...え？」
「私だって同じ立場になったら言えないわ」

アカリは眉間に皺を寄せたまま笑う。

「だって自分だってパニくってる状況な訳でしょ？落ち着くまでは言えないし、落ち着いたら落ち着いたで時間も経ってるし更に言えなくなるのも分かるよ」
「アカリ...」
「だから別に謝る必要は無い。悪意のある隠し事を作られるのは嫌だけど、これはそうゆー事じゃないし」
「アカリー...」

うえー...と泣きそうになりながら彼女に両手を伸ばすとギュっと握られて「でも、咲くんのプライベート写真くらいは見せなさい」ってニヤリと微笑まれた。

「プライベート写真...あったかな」

スマホを出して画像フォルダを調べると、雅紀くんが『これ買おうと思うんだけどどっちの色が良い？』ってグループLINEに送って来た画像が保存されてる。
ネイビーのカットソーを着てるのと、同じデザインのカーキを着てるのと。
ショップの試着室の中で自分の映った鏡を写してる。
ちなみにその時は多数決でネイビーになった。

「これとか」
「うわ、めっちゃ素だ！」
「だよね、全然顔作ってない」
「このナチュラルさまで格好良いとかどうなってんの、神様はどれだけ咲くんを依怙贔屓するつもりなの」

私のスマホを見ながらアカリはワナワナしてる。

「ってゆーかAも依怙贔屓して貰ったよね！ファンだった人と友達になれるどころか一緒に暮らせるなんて、こんな事ある？」
「無いよねぇ...」
「...ねぇ、さっきから気になってるんだけど」
「うん？」
「A、全然嬉しそうじゃないよね」
「え...」
「もしかして、咲くんは良いとして他の住人に嫌な奴が居るとか？意地悪されたりしてない？」

アカリが心配そうな顔をした。

「ありがと。大丈夫だよ、意地悪はされるけど」

私が笑うと彼女は首を傾げた。