PARACAGE 4th【ars】 (ページ25)

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130.朝活男子。ページ25

しまったー...メイク落とさずに寝てしまったー...

目を覚ました時に感じた、何とも言えない肌のツッパリ感と目の周りのゴワゴワ感。
こんな失態久し振り過ぎて情けなくなる。

「う...いたた...」

起き上がると頭が痛む。二日酔いだ、最悪。
雅紀くんと帰って来てる時は酔ってないと思ってたけど、家に帰って来て気が緩んだ瞬間一気に回ったからな...。

ノソノソとベッドから出て、顔を洗いに一階に降りる。
洗面所の前まで行くと、中からヘアターバンで前髪を上げた潤くんが出て来た。
朝お馴染みの、眼鏡潤。

「うわ。ひどい顔」
「やだっ！見ないでっ！」

昨夜の事もあるから何だか恥ずかしくて冗談っぽく言って顔を隠したら、ターバンを外しながら「もう見たしー」って彼は笑ってダイニングへ入って行った。

確かにひどい顔だ。
鏡に写った自分を見て思う。
メイクを落として顔を上げると、また頭が軽くズキっと痛んだ。

「薬...」

私もダイニングへ行くと、潤くんが居ない。
キッチンを覗くと彼はそこでブレンダ―を出してた。

「お前、もしかして二日酔い？」
「うん、薬飲もうと思うから何か食べなきゃ...」

籠の中からワッフルを出してる私の背後で、潤くんはオレンジを切ったりしてる。
毎日ちゃんと朝活してて凄いなぁ...。良い奥さんになるよ、貴方。

ダイニングに戻ってモソモソとワッフルを食べてると、潤くんがコップとマグを持ってキッチンから出て来た。
正面に座った彼がコップを私の前に置いた。

「え？」
「二日酔いに効くスムージー」
「えぇ！？私に！？」

コップを持ち上げてオレンジ色のドロリとした液体を眺める。

「良いの！？」
「良いから出してんだろ」

そう言って自分はコーヒーを飲みながら新聞を読んでる。

「ありがとー...嬉しいー...潤くんの女子力、ちょっと分けて欲しいよ」
「分けてやんない。ほら、喋ってる暇があったらさっさと飲め」
「はーい」

何だかんだでヘロヘロだった心にこれは効く。
泣きそうになりながらスムージーを飲むと、甘酸っぱくて美味しい。

「これ何が入ってるの？」
「オレンジと人参とヨーグルト」
「凄いねぇ...そんなレシピも知ってるんだ」
「今の時代、グーグル先生に訊いたら何でも教えてくれんだよ」
「潤くん、絶対に良い奥さんになるね！」
「さっきからAには俺が女に見えてんのかな？」
「女子力分けて」
「分けてやんない」

潤くんが、新聞を読んだまま笑った。