PARACAGE 3rd【ars】 (ページ28)

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98.イタイ目。ページ28

「でも今はこんなコト言ってる割に、あん時はニノがすごい大声出したんだよ？」

智くんが私に言って、ニノくんが「寝込み襲われたからビビっただけだろ」ってちょっと拗ね顔。

「騒がしくて『何があった？』ってみんな部屋から出て来て、更にビックリ」
「廊下に出てたニノ、Tシャツ脱がされてて半泣きだったもんねぇ」
「息荒いし、顔真っ赤だし」

想像してみる。
あぁ、可哀想に。痛々しい。

チラっとニノくんを見ると「想像してんじゃねぇぞ」って睨まれたから「ごめんなさい」って謝ったら、「本当に想像してたのかよ」って潤くんに呆れられた。

「で、殴られたか蹴られたかした雅紀が、カズの部屋の床に転がって伸びててさぁ」
「翔くんが相葉ちゃんを起こしてる間に、ニノは潤くんの部屋に逃げ込んだでしょ？」

ニノくんがコクンと頷く。
2人は「懐かしいね」ってケラケラ笑ってる。

「あ」

私の口から零れた声に、3人が同時に「ん？」って言った。

「あ...、ニノくんが酔っ払いが入って来てイタイ目に遭ったって...」

初めてこの家に来た日に話してくれたニノくんの、もう思い出したくないって感じの苦い表情を思い出す。
目の前に居る彼がその時と同じ顔をした。

「A。この家には、オオカミが居るぞ」
「狼...」
「オレみたいに服剥ぎ取られないように気を付けろよ？」

思わず、二階を見上げてしまう。
...あの子は、服を剥ぎ取られてるの...？

うぅ、嫌だ。
嫌だ、想像しちゃったじゃん。
ニノくんのバカ！

「え？...何でオレ、Aに睨まれてんの...？」
「あ、ごめん」

ついつい。

「カズ、暫くの間一人で寝たくないって俺らの部屋を渡り歩いてたよな」
「ふふっ。相葉ちゃんに服脱がされて何されたんだろうね」
「キスくらいはされちゃったんだろ」

ケラケラっと潤くんが笑って、キャベツを食べた。
ニノくん、頬杖をついたまま何も言わない。
されたな、これは。

「部屋のドアに色を塗ったのって、やっぱりそれがキッカケなんですか？」
「うん。さすがにドアの色が違ったら間違えないだろうって大野さんの提案」

私の質問に潤さんが応えてくれた。

「元々白いドアが並んでて殺風景だと思ってたからねぇ」
「ま、塗っちゃってからはあのバカが部屋間違える事も無くなったし、めでたしめでたし」

頬杖ニノくんが、うそくさーい笑顔を浮かべンフって両肩をキュっと上げた。