PARACAGE 3rd【ars】 (ページ27)

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97.避難の話。←5.26 ページ27

「朝起きた時に『実は隣の部屋に女の子が居た』って知るのと、女の子が居るって分かってて隣の部屋で寝なきゃいけないのは」
「.....」
「全然違うもんね」

ふふ、って笑った智くんに私は曖昧に首を傾げる。

キッチンから出てきた潤くんに、智くんが「ね？」って訊いて、当然だけど訊かれた彼は「何の話？」って応えた。

「避難の話」
「避難？」
「相葉ちゃんの部屋から逃げる為の避難」
「あぁ！」

私達の前に座った潤くんが、アハハ！って大笑い。
その手元には生姜焼きとご飯と千切りキャベツが乗ったカフェみたいなワンプレート。

「いただきます」と目を閉じ手を合わせた潤くんが、目を開けて「避難って言ったらさぁ」ってお箸を持ちながら話し始めた。

「大野さん、覚えてる？カズのアレ」
「ふふっ、大騒ぎだったやつね」

何やら面白そうな話に、思わず身を乗り出して聞く。
その瞬間、縁側で寝転んでたニノくんがガバっと起き上がった。

「待て！何の話するつもり！？」

バタバタ走って来て潤くんの隣に勢いよく座ったニノくんの足元をニゴが駆け抜けて行く。

「え？カズが襲われた話」
「やっぱり...もう良いって、その話マジで...」

襲われた？
当のニノくんは机にペターンと上半身を倒して突っ伏した。

潤くんは笑いながらご飯を食べつつ、ちょっと身を乗り出して話してくれる。

「かなり前なんだけど雅紀が酔っ払って、お姉ちゃん連れて帰って来たのよ」

智くんが「今日よりベロベロだったねぇ」って笑う。

雅紀くん...あなたって人は...
私も机に突っ伏したくなる。

「でも、まぁそんな事はみんな慣れてたから気にしてなかったんだけど」
「相葉ちゃんが女の子を部屋に置いて、トイレ行ったんだっけ」
「そうそう、その帰り！雅紀、部屋間違えたんだよ」

「まさか」と心の声が外に出た。

「そう、まさか。カズの部屋に入ってさ」
「それだけならねぇ、まだ良かったのに」
「雅紀、お姉ちゃんだと思い込んでベッドで寝てるカズを襲ったんだよな！」

襲う...！？
お姉ちゃんと思い込んで、襲う！？
家で、襲う！？多分、気にするところはそこじゃないと思うけど、襲う！？

雅紀くん...あなたって人は...

「サッイアクだよ！」

顔を上げたニノくんが机をダンと叩いた。

「オレの貞操が...！チェリーのオレをアイツは...っ！」
「それは嘘だろ」

潤くんに突っ込まれて、ニノくんがテヘッて舌を出す。