PARACAGE 2nd【ars】 (ページ28)

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63.女性的では無い。ページ28

「アハハッ！」

翔さんが突然爆笑して、腰に触れてる私の手を掴んだ。

「ここはくすぐったいですよ」
「あっ...そっか、ごめんなさい！」
「いえいえ」

笑ってる翔さんが、掴んでる私の手をそのままお腹に回した。

「危ないから、抱きついてて下さい」

そう言って、もう片方の手も翔さんの手によってお腹に回されて。
あっとゆーまに、私は翔さんに抱きついてる形になった。

「では、行きましょう」

ブォンとエンジンを鳴らして、カブ子が走り出す。

思ってた以上に筋肉質な背中。
顔も綺麗で内面も穏やかな人だから女性的なイメージでずっと見てたけど、この背中は凄い男っぽい。

風を受けて走るバイク。
翔さんの服から、柔軟剤の香り。
テラハウスの皆が使ってる、皆お揃いの香り。

歩いて行ける距離にある小規模なスーパーとは違う、もう少し離れた場所にある大型スーパーへ到着した頃には、緊張してたんだかドキドキし過ぎたんだか既に疲れ切っていた。

それでも初めて来るスーパーって楽しい。
すぐに元気になる。

「洗剤はこれ」
「ついでに柔軟剤も」

生活用品売り場で買い物。

「挽き肉ってこれで良いですよね？」
「翔さん、それ鶏挽肉ですよ！頼まれてるの、合い挽きだからこっち」
「あ！...また間違える所でした」
「また、って事は前にも？」
「2度ほど...」

タハハ、と笑って翔さんは挽き肉をカゴに入れた。

可愛い...
とか思いながら、食品売り場で買い物。

「翔さん、ワッフルも買っときましょ！特売だ、ラッキー！」
「フフッ、そうですね！」

レジの近くのワゴンで特売してたワッフルをどっさり買い物。

買った物を全部リュックに詰め込んで、後ろに乗る私がまた背負う。

「Aさん、重くないですか？大丈夫？」
「大丈夫です！リュックって何故か荷物が軽く感じますよねー」
「分散されるんでしょうね、重さが」

そんな話をしながら店を出ると、そこに大泣きしてる子供が居た。
幼稚園...年長さんくらいかな、男の子。

「どうしたー？」

翔さんがその男の子に駆け寄り、しゃがみ込んだ。
私もついて行って隣にしゃがむ。

「お母さんは？一人？」

泣くばかりで何も応えない男の子に、翔さんがハッとした顔をして「大変だ！」って言った。

「君のお母さん、迷子になっちゃったんじゃない！？」
「...ママがまいご...？」
「どうしよう！助けなきゃ！」

翔さんが言うと、男の子が泣き止んだ。