PARACAGE 2nd【ars】 (ページ23)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:1,766,649 hit

58.ある休日。ページ23

サービス業ではあるけど、全ての土日が仕事って訳では無くてスタッフの中でちゃんと休みは平等になるように回してる。

そんな訳で、休日の土曜日。
起きてから暫くはベッドの中でこないだ買った文庫本を読んだりして、ちょっとお腹が減って来たからお昼前に部屋を出た。

ダイニング側から入るとリビングでは潤くんと智くんが映画を観てる。
画面はちょうど、エンドロール。

翔さんは土日の方が忙しいから、帰って来るのはきっと夜ご飯の頃。
雅紀くんもお仕事だろう。

「おはようございます」

声を掛けると、振り返った智くんが「おはよ、Aちゃん」って手を挙げた。
潤くんは「もう昼前だけどなー」って言いながら、デッキからディスクを取り出してる。

「あれ？ニノくんが居ない」

ニノくんの姿が見えなくて思わず呟くと、潤くんがダイニングの方に来ながら「出掛けた」って言ってキッチンの中に入って行った。

「え、珍しい」

ニノくんはどちらかと言うとインドアだ。
休みの日も、ほぼ家から出ないらしい。だからあんなに色白なんだろう。

「あ、もしかしてデートかな！」

何となく口に出すと、牛乳の入ったコップを持ってキッチンから出て来た潤くんが「それは無いな」ってダイニングに座った。

「言い切っちゃうんですか？」

私も潤くんの前に座る。
智くんはふらーっとキッチンへ行った。

「無いと思う」
「ニノくん、モテそうなのに」
「モテるのはモテるけどね」
「じゃあ、女の子に興味が無いとか？面倒なのかな...」
「いや、結構マメな方だとは思うけど」

マメなんだ...でもデートは無いの？
どーゆー事だろう。

「ニノ、好きな人ちゃんといるよ」って、オレンジジュースの入ったコップをふたつ持った智くんがキッチンから出て来て言う。
コップをひとつ私の前に置いて隣に座ったから「ありがとう」ってお礼を言うと、ニコっと微笑まれた。

「ただいまー」
「あ、ニノ帰って来たね」

智くんがオレンジジュースを飲む。

ダイニングに顔を出したニノくんは「これ、そこで大竹さんちの奥さんがくれたー」って何やら紙袋をテーブルに置いた。
「甘栗だってさ」って、まだ飲んでなかった私のオレンジジュースをグビグビ飲む。

「それ、私の！」
「あれー？名前書いてないから分かんなかった」
「コップに名前なんか書かないでしょ！」

空っぽになったコップを私に返しながら「はいはい」って笑ってる。