PARACAGE 2nd【ars】 (ページ11)

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46.待ってました。ページ11

「ニノちゃんはー...？」

また雅紀くんがパタンと大の字になる。

「何？雅紀はカズに会いたいの？」
「ニノちゃーん...」
「何なの。Aさん、雅紀どうしたんですか？」

翔さんが困ったような表情で私を見た。

「ニノくんに桜餅買って来てって頼んでるんです」
「あぁ、なるほど。カズってよりも、桜餅を待ってるんですね？」
「そうみたいです」

納得した翔さんは、そのまんまお風呂へ。

智くんの寝息が聴こえる。
雅紀くんは「さくらーもちー、さくらーもちー」と歌なのか独り言なのか分からないけど小さな声で呟いてる。
大の字のまんまで。

その数分後、玄関が開いた音。
雅紀くんが上体を起き上がらせた。
腹筋使って。ムクっと。

「ニノちゃん！」
「は？」

でも、ダイニングから入って来たのはスーツ姿の潤くん。

「潤ちゃん...」
「なに」
「んーん...何でも無い...」

雅紀くん、ショボンとして私達に背中を向けた。

「カズなら一緒に帰って来たけど」
「えっ！？」

ニッコニコで振り向いた。

「雅紀、そんなにカズ好きなの？そっちの気もあんの？」
「ただいまー」

訝しげな潤くんの背後からニノくんがヒョコッと顔を出す。

「駅で潤くんと会ったから、一緒に牛丼食ってきたの」

あ、2人も丼物だったんだ。

「ニノちゃん！桜餅！」

雅紀くんがバタバタとニノくんに駆け寄ると「うるせぇ」って迷惑そうな顔。
でも「ほれ」ってコンビニの袋を渡してる。

「ありがと！ニノちゃん、愛してる！」
「御生憎様、オレはお前を愛せない」

「あ、桜餅」ってお風呂から上がって来た翔さんがニノくんを見て言った。

「翔ちゃんのもあるよ、食べてね」
「優しい子だね」
「もっと褒めて」

はいはい、と翔さんはニノくんの頭をポンポンして「でも今日はもう寝るから、明日の朝頂くよ」と言い、私達におやすみを言って部屋を出て行った。

「じゃ、俺は風呂上がりに自分の部屋で食うから1個ちょーだい」

潤くんが雅紀くんの持ってる袋の中から桜餅を1個取り出して、出て行く。

「Aちゃん、食べよ！」

雅紀くんが縁側の方に私を手招きする。

「あ、はい！ニノくん、ありがと！」
「どーいたしまして。オレも食っちゃおかな」

縁側に雅紀くん、私、ニノくんって3人並んで桜餅を食べる。
夜桜を見ながら、桜餅を食べる。

「日本人で良かったねー」

雅紀くんの言葉に、2人でうんうん頷いた。