PARACAGE【ars】 (ページ33)

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33.BIKE。←4.11 ページ33

「それで、洗濯物なんですけどね？」

あ、まだお話は続いてたのか...！

「はい！」

翔さんの方を向くと、私の椅子の背凭れに手を掛けてるからさっきより距離が近くなっててビックリ。
なんだけど、彼は別に何も気にしてないようでそのまま話す。

「Aさんのお部屋の隣に、物干し場があるんです」
「あ！あそこ、ベランダだったんですね！」

二階の廊下の一番奥。
つまり、私の部屋の向こう側に何やら小さなドアがあった。
あれはベランダのドアだったのか。

「ベランダって程、立派な物では無いんですけどね」

アハ、と翔さんが笑う。

「僕たちは洗濯物を二階に運ぶのが面倒だから庭に干してるんですけど、あそこも使えるのでAさんはそちらに干して下さい」
「良いんですか！？ありがとうございます！」

部屋干しで良いとか思ったけど、やっぱりお日様の下で乾かせるならそっちの方が良い。助かる。

「それから、カブなんですけど」
「かぶ？」

翔さんに言葉をオウム返しすると「バイクの『カブ』です」と言われて「あぁ！カブ！」と納得。

「うちの前に停めてあるんですけど、あれも乗って貰って大丈夫なんで」
「え？バイクも共有なんですか？」
「まぁ、備品のような扱いです。元々は僕の物なんですけど、あんまり乗らないし勿体ないので」
「あー...でも、残念ながら私免許持ってないんです」

そうですか、って翔さんが微笑む。
お向かいの席ではニノくんと雅紀くんがワッフルを食べながら、何やら楽しそうにお喋り中。
どうやら、今日撮影で着た服について雅紀くんが話してる感じ。

「バイクは翔さん以外、誰か乗ってるんですか？」
「あぁ、潤と雅紀が乗ってますよ」

名前が出た雅紀くんが「ん？何？」ってこっちを見た。

「バイクの話」と翔さんが言うと「カブ子ちゃんか！」と笑ってる。

「カブ子ちゃん？」

私が訊くと、雅紀くんは「うちのカブの名前」って教えてくれた。

「オトコよりオンナに乗りたい、って理由でな」
「ニノちゃんだって女の子に乗りたいでしょ？」
「オレ、バイク乗らないもん」
「バイクの話してないよ？」

ンフフーと笑った雅紀くんの頭を、ニノくんがパコンと叩く。

「Aさん、本当に下品で申し訳ないです...」
「いえいえ！翔さんが謝らないで下さい！それに全然平気なんです。私、こーゆーの」

女子なのに下ネタ平気なのもどうなんだ...と思いつつ、ヘラヘラ笑っておく。