PARACAGE【ars】 (ページ4)

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4.少年青年。ページ4

28歳...少年じゃなかった...ってゆーか、歳上だった...！

「あっ！私は寺坂Aです。26歳です」
「お。そんなに歳、変わんないんだ」

ストローいる？って訊かれて、首を振る。

「仕事は？今日、休み？」
「あ...引越しが急だったから、無理言って休ませて貰って...雑貨屋で働いてるんですけど」
「へぇ、何か可愛い仕事だね」
「え？仕事に可愛いとかあるんですか？」

私が笑うと、彼もフフッと笑った。

「二宮さん、ご職業は？」
「アハッ、何かお見合いみたい」
「えっ！？」
「オレ、パタンナー」
「パタンナーって、洋服の？」
「そーそー」

頷きながら、麦茶を飲んでる。
つられるように、私も飲む。

コチコチコチと、壁時計の針が進む音。

「これ飲んだらAの部屋、案内したげる」

ブッ、と麦茶を吹き出してしまって二宮さんが「うわ」と笑いながらキッチンに消えて、戻って来たら手に布巾を持ってた。

その布巾で、私がテーブルに吹き出した麦茶を拭いてくれる。

「すみません！」

私も自分のタオルで拭こうとしたら「それはテーブル拭くモンじゃないでしょーよ」と、手を押さえられた。

「ってかさ、噎せるよーな事あった？」

...ありましたけど。
......呼び捨てしたじゃないっすか。
会ってまだ10分も経ってないのに、呼び捨てしたじゃないっすか！ビックリするじゃないっすか！！

「あの...」
「ん？」

元の席に戻った二宮さんが首を傾げる。

「ここにはあと何人いらっしゃるんですか？」
「あと、4人」

私を入れたら全員で6人になるのか。

「あ、ここの名前って『テラスハウス』...なんですか...？」
「はぁ？んなワケ無......あ、またアイツか...」
「え？」
「テラスハウスじゃなくて、テラハウス。テラとハウスの間に無理やり『ス』って書いてあったろ？」

そう言えば、『ス』だけやたら細く書いてあったのは気になったけど。

「ここ一人、バカが住んでてさ。ソイツが酔っ払って帰って来た時に勝手に書いたの」
「バカが...」
「普段は恥ずかしいから片付けてんだけど。Aが来るから出したんだろーね、そのバカが」

バカバカ言われてるその人と、私は仲良く出来るんだろうか...。
不安になってきた。

「テラハウスって呼ばれてんのは...あ、ちょっとこっちおいで？」

席を立った二宮さんが手招きをしながら縁側の方へ行くから、私もついて行く。

二宮さんの隣に立って庭を見ると、その奥にまた建物があった。