ココロ８つ ページ9
ジェイドと一年が話している。獣人の耳にはよく聞こえた。テストの対策ノートのお話。餌にくいついた魚のように哀れだ。そんな美味し過ぎる話があるわけがない。無償でもらえるものは、何一つないというのにそれに気づいてない。
時間も有限、お金も有限。ある分しか払えない、彼の頭で、果たしてテスト対策ノートという大きな対価分を支払えるのだろうか。
「馬鹿だなぁ。」
止める気などない。だって、くいついた魚は食われるのが道理である。食いついたけど、逃げられる魚は一握り。それが彼らの慈悲だと思った方がいい。
「さて、ラギーとお昼食べに行こっと……。」
食堂まで足を運ぶと、既にラギーとレオナが座っていた。クラスは違っても、選択授業がたまたま別のものを選んだため、ラギーと一緒ではなかったのだ。
「遅かったッスね。Aの分はちゃんと盛ってきたッスよ。」
「授業ちょっと長引いちゃって……。あ、ありがとう。」
「こんくらいいいッスよ。レオナさんのついでてもあるし。」
「ハッ！よく言うぜ。Aが何食べるか頭捻らせてたやつがよ。」
「うわっ、それは言わない約束ッスよ!?」
「私のために悩んで盛ってくれたんだ。ありがとう」
お金は勿論、レオナからである。憎い金持ちだが、金持ち様様である。金があるなら、スラムをどうにかしてほしいという気持ちもある。今更どうしたって、スラムの人間性は変わらないだろうが、
「そう言えば、クラスの奴らが今日カラオケ行くとか、ゲーセン行くとか余裕こいてたっスね。まぁ、なんとなく想像はついてるけど。」
「私も、ジェイドに話しを持ちかけられて餌にくいついた哀れな魚を見てきたところ。」
「言い方に間違いがないッスね。」
「お前ら、変なことに巻き込まれてねぇよな？」
「オレらがそんな幻みたいな話に惑わされると思ってるんスか？」
「ふんっ、そこらへんの馬鹿とは違って、そう言う教育はなってるんだったな。」
「シシシッ！スラムに住んでる奴らはだいたい用心深いし、危険察知能力は長けてるッスよ。詐欺には引っかかりにくいんで。」
いい話の裏には必ず悪いものがついてくる。金で助けてやるから、それ以上の金を用意しろとか言われたりする奴らもいた。それを見て生きてきているため、用心深く疑ってかかるのだ。
また今日も魚が餌に群がっている。
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冴凪(プロフ) - 監督生さん» コメントありがとうございます~！そろそろ更新するので待っててくれたから幸いですっ (2021年9月1日 17時) (
レス) id: 9684b934dc (このIDを非表示/違反報告)
監督生(プロフ) - 最高すぎます。続きがたのしみです！ (2021年7月29日 13時) (レス) id: b04fbbb950 (このIDを非表示/違反報告)
まろ。(プロフ) - ゆうなさん» 書いていて私もムッカムカしちゃってました……（）そうなんですよね、嫌いな奴の手助けになってしまうからこそ夢主もドンドン闇深くなっていってて（私がそうさせている）ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2020年12月18日 8時) (レス) id: f82dd573b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - これはいくらなんでもむかつきます、自分を勝手に担保にされた挙句嫌いな奴の間接的ではあるけど手助けになってしまう…ムカつく以外の何者でもないですなぁ…。話面白いです！！これから応援してます！ (2020年12月15日 11時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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