ココロ２９ ページ30
ほんの少しのことでも、知られたくないなんて、とんだ我儘を拗らした面倒くさいやつだと自分でも思ってしまう。言ってしまえば、楽になるとも言うが、それでそれが消化されるかというと、そうでもない。ただそう思わせてるだけで、そこにガーゼを当てて苦しくないと言い聞かせているだけに過ぎない。
過去は変わることはない。一生ついてくるものだ。それを無くすことは出来ない。ラギーもユウという異物に感化されてしまったのだろう。彼女と関わる奴らはみんな変わる。Aの嫌いな異物とかしてしまう。
「ラギーは変わったね。」
「え？」
「ラギーは私の嫌いな性格になっちゃった。」
波はもう出ていない。ただ、優しく微笑んでいるAがラギーの目の前にいる事実は変わらなかった。嫌いなのに何故微笑むのか。温かいようで他人事のような言葉をかけられるなら、こちらも温かいようで他人事のような表情を見せよう。
「A、今何を想ってるんスか？」
恐る恐るラギーは聞いてみる。Aの望んでいるもの。それはなんだろう。無力以外の何ものでもない。
「……分かんない。想えるほどの余裕もないから、せめて全部終わらせて楽になりたいかな。」
「全部終わらせても、何もないでしょ。それなら、オレの手を取ってくれないッスか？これ以上壊れてるA見るのはキツイ。」
「壊れてるのは私じゃないよ……。あの羊がラギーを壊したんだよ。私の大好きだったラギーを壊したの。気づかないうちに壊されちゃったね、ラギー。」
「オレは壊れてないッスよ。」
「そうかな。前のラギーなら、お人好しの羊の肩を持つことしなかったのに。今は違うでしょ？残念だなぁ。ごめんね、私はね卑怯だけど、どんな手段でも勝とうとするラギーが好きだったんだよね。今みたいに、私を説得して必死になってるのは望んでないんだ。」
スラム育ちはスラムらしく、卑怯で汚い手だけで生きていけばいい。なのに、それを表面だけ綺麗に見せるなんて馬鹿げている。泥に泥を塗っているようなものだ。もう綺麗になんて戻れないでしょ。物を盗んだ汚い手だ。それを握っていいのは同じ汚い手をした、自分だけである。
「ねぇ、元のラギーに戻ってよ。今のラギーは嫌い。要らない。消えて無くなってほしい。そんなのラギーじゃないもん。」
Aはラギーの心臓のある方にマジカルペンを当てた。
「逃げるなら今、早く逃げて。」
「覚悟出来てないことはするモンじゃないッスよ。」
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冴凪(プロフ) - 監督生さん» コメントありがとうございます~！そろそろ更新するので待っててくれたから幸いですっ (2021年9月1日 17時) (
レス) id: 9684b934dc (このIDを非表示/違反報告)
監督生(プロフ) - 最高すぎます。続きがたのしみです！ (2021年7月29日 13時) (レス) id: b04fbbb950 (このIDを非表示/違反報告)
まろ。(プロフ) - ゆうなさん» 書いていて私もムッカムカしちゃってました……（）そうなんですよね、嫌いな奴の手助けになってしまうからこそ夢主もドンドン闇深くなっていってて（私がそうさせている）ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2020年12月18日 8時) (レス) id: f82dd573b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - これはいくらなんでもむかつきます、自分を勝手に担保にされた挙句嫌いな奴の間接的ではあるけど手助けになってしまう…ムカつく以外の何者でもないですなぁ…。話面白いです！！これから応援してます！ (2020年12月15日 11時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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