ココロ２１ ページ22
出て行ったA。かなり気まずい空気が流れた。というのも、出て行かせる滑車をかけたのは、紛れもなくここにいるユウである。そして、嫌いだと分かっていながらも承諾したレオナやラギーにも怒りを隠せない。
散々無理をするなだの、言ってきたのにこんなに振り回される思いをしたのは、流石に初めてである。いや、両親に捨てられたという自覚を持った時も、振り回されたと感じたが、また違う感じ。
「はぁぁぁ、もうやだ。」
「ペンギンちゃん、これどうぞ〜。」
「ん？何これ。」
「まだ何も食べてないでしょ？」
フロイドに言われて、そう言えばと思い出す。確かに何も食べていない。ご飯はお風呂入ってから食べようと思っていたのだ。イライラしててアドレナリン出過ぎてて、自分の身体の状態など気付けることもない。
「これ、何て料理？」
「ん〜？これはね、モストロ・ラウンジで出してる料理だよ。美味しいでしょ？名前なんて言うんだっけ〜、忘れちゃった。」
「そっか、でもフロイドの料理美味しい。」
「そう？」
「うん。」
だが、ラギーの料理の方が好きだなんて言えなかった。いや、今はラギーのことなど忘れるべきだが、ギリギリまで止めてくれたのもラギーだった。「待って」と言われたが、その時はそんなところじゃない。
気分は駄々下がりである。Aに心がない訳じゃない。寧ろ無かったらここまで怒ることが出来ないだろう。心があるからこそ怒れるのだ。Aが無慈悲という訳でもない。無慈悲なら、誰かと手を組んで何かをしようとも思わないだろう。結局言ってしまえば、こっちからすれば向こうが無慈悲に感じるし、向こうからすればこちらが無慈悲に感じるのだ。
そもそも、この世界の生きてるものから全員に好かれることなど不可能に等しい。苦手なものに触れるから、このように怒らせたりするのだ。
「Aさん、紅茶淹れてきましたよ。」
「すごくいい香り……。」
「ふふ、僕のお気に入りの茶葉ですので。」
「ジェイド〜、オレには〜？」
「おやおや、それを言うなら僕には料理ないのですか？」
「ペンギンちゃんのために作ったんだもん。あるわけないじゃん。」
「奇遇ですね。僕もですよ。」
「ちぇ……。」
「二人とも、ありがとう。」
「ペンギンちゃんがちょっと元気になってくれて良かった〜。」
そう、ちょっとだけ何かが洗い流せた気がする。
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冴凪(プロフ) - 監督生さん» コメントありがとうございます~！そろそろ更新するので待っててくれたから幸いですっ (2021年9月1日 17時) (
レス) id: 9684b934dc (このIDを非表示/違反報告)
監督生(プロフ) - 最高すぎます。続きがたのしみです！ (2021年7月29日 13時) (レス) id: b04fbbb950 (このIDを非表示/違反報告)
まろ。(プロフ) - ゆうなさん» 書いていて私もムッカムカしちゃってました……（）そうなんですよね、嫌いな奴の手助けになってしまうからこそ夢主もドンドン闇深くなっていってて（私がそうさせている）ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2020年12月18日 8時) (レス) id: f82dd573b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - これはいくらなんでもむかつきます、自分を勝手に担保にされた挙句嫌いな奴の間接的ではあるけど手助けになってしまう…ムカつく以外の何者でもないですなぁ…。話面白いです！！これから応援してます！ (2020年12月15日 11時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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