ココロ１５ ページ16
Aはボーッとすることが多くなった。話しかけても、気づかなかったりする。
逆に一度で此方の話を聞けることの方が少ないようにも感じる。上の空と言ったらいいのだろうか。
今日はテスト当日である。Aは大丈夫なのだろうか。ここ数日間で勉強してるところなど見ていない。変な不安に駆られるラギー。
「(今年は何人、あいつらの餌食になるのかな。)」
去年はあまり目立った契約はしてないように見えた。いや、影でやってたかもしれないが。何人か餌食になったというのは、噂できいたから知っている。
余裕な表情を浮かべてる一年が多かったから、今年は何百人の桁の人数が契約してるかもしれない。何人とかのレベルじゃないのは、ここまでの考えの中で想像ついた。
テストが回ってきて、問題を見る。赤点さえ取らなければいいのだ。多少分からないところがあっても問題はない。スラスラと問題を解いていく。中間あたりの問題が４問ほど分からなかった。赤点ではないことは確実なので、特に思うことはない。
「A、テストどうだったッスか?」
「……ん？え、あぁ……悪くなかったよ。」
「……えっと、この後空いてるッスか？」
「空いてるけど。」
「一緒に二人で昼飯食いたいんスけど。」
「……いいよ。」
嫌という気持ちと、嬉しい気持ちが混合していた。だが、ここで断ればもっと苦しくなると思ったのだろう。もしかすると、頭と心では思っていることが違っているのかもしれない。頭では分かっているが心が追いつかない。これのことだろう。
「ホントッスか?!……やった！」
こういうところに弱い。カッコよさの中に可愛さがある。そして、その中に優しさとか狡さとか入り混じっている。側にいてくれるなら、ちょっと狡をしても良いだろうか。してもいいだろう、だって躾がなってない犬であるなら許されるはずだ。
「ラギー、もう絶対にあいつと二人にならないで。約束してね。」
「分かったッスよ。」
優しく頭を撫でてくれた。これを待っていたのかもしれない。気持ちを伝えなくても、
側にいてくれるならそれでもいい、なんて健気な思いはもう要らないだろう。
気持ちは伝えなくとも、ラギーが逃げ出さないように、気持ちで縛り付けておきたいのだ。嫌なことはやらないようにと、しっかり躾けておけば、自分から離れない。何故このことに気づかなかったのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冴凪(プロフ) - 監督生さん» コメントありがとうございます~！そろそろ更新するので待っててくれたから幸いですっ (2021年9月1日 17時) (
レス) id: 9684b934dc (このIDを非表示/違反報告)
監督生(プロフ) - 最高すぎます。続きがたのしみです！ (2021年7月29日 13時) (レス) id: b04fbbb950 (このIDを非表示/違反報告)
まろ。(プロフ) - ゆうなさん» 書いていて私もムッカムカしちゃってました……（）そうなんですよね、嫌いな奴の手助けになってしまうからこそ夢主もドンドン闇深くなっていってて（私がそうさせている）ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2020年12月18日 8時) (レス) id: f82dd573b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - これはいくらなんでもむかつきます、自分を勝手に担保にされた挙句嫌いな奴の間接的ではあるけど手助けになってしまう…ムカつく以外の何者でもないですなぁ…。話面白いです！！これから応援してます！ (2020年12月15日 11時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
