桃色の指先と翡翠の憂鬱 37

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川｢僕も｣

川島先生が俺の横に寝転んだ。

阿｢如恵留、斗真さんのこといいの？｣

川｢普通に仕事をしてますよ。妹の婚約者ですから｣

阿｢婚約っていつ籍を入れるの？｣

川｢妹は向こうの生活の方が長く、アメリカの感覚でいるので1.2年後ですかね｣

阿｢婚約期間長いね｣

川｢阿部先生も長かったですよ｣

阿｢俺は10ヶ月くらいか。何も決めずにプロポーズしただけだし、俺的には佐久間が2年の3学期の始業式後に結婚指輪作った方が正式だよ｣

川｢あの時は嬉しかったです｣

阿｢如恵留、あの指輪付けないの？｣

川｢ダイヤの方ですか？｣

阿｢うん｣

川｢悪魔の契約はまだ有効ですけど、付けなくてももう不安じゃないですから｣

阿｢なら良かった｣

川｢婚姻届いただきましたからね｣

阿｢あの指輪、なんか彫ってある？｣

川｢どうしてですか？｣

阿｢斗真さんにあげたら？妹さんにプレゼントするようにさ｣

川｢自分で買わないと意味がないですし、斗真はしっかり日本出張分は上乗せされてますから｣

阿｢あの指輪、あげたくないんだね｣

川｢あれは、僕の中での阿部先生なんで｣

阿｢ふふ。如恵留は可愛いなぁ｣

川｢もう。また付けます｣

阿｢うん。似合ってるし、あの石は如恵留のためにさこの地球の何億年も前に生まれて眠ってたんだから、大切にね｣

川｢持って来たら付けてくれます？｣

阿｢中に入ろう。汗かいてきた｣

川｢阿部先生の大好きな星空の下で付けてください｣

阿｢わかった。持って来て｣

川島先生が部屋に入って、玄関の方へ取りに行って戻ってきた。

リビングにいる佐久間と何か話してバルコニーに出てきた。


川｢あれやってってあべちゃんに言えと、佐久間に言われました｣

阿｢あいつ…｣

川｢プロポーズしてくれますか？｣

阿｢いいよ｣

川島先生からダイヤの指輪を受け取った。


川島先生の前に片膝をついて座る。右手を持って、薬指に指輪をはめた。


阿｢如恵留、愛してる。今は離れて仕事をしてるけど、如恵留のことを思い出さない日はないよ。忘れないように、また学校に戻って来てください｣

川｢はい。必ず戻ります｣

阿｢ありがとう…｣

川島先生が学校にいない寂しさを思い出して涙がこぼれた。

川｢阿部先生、もう少し待ってください｣

阿｢うん…｣


川島先生が膝をついて、きつく抱き締めてくれた。

川｢大丈夫です。いつも僕が支えます｣


久しぶりに聞いたな。俺を安心させる魔法の言葉。

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