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神社に戻って、佐久間と金魚すくいへ。
｢お、お兄ちゃんきたね、やる？｣
佐｢金魚全部取っていい？｣
｢お兄ちゃん、いっぱい掬えても2匹、掬えなくても1匹ね｣
佐｢金魚さん待ってね、ちょっとだけ苦しいよ｣
佐久間が金魚に話しかけながらすくう。
佐｢みんなー佐久間さん怖くないよー｣
可愛い佐久間を眺めて写真を撮る。
佐久間の横顔にお祭りの光で反射した水の波紋がゆらめいてる。
可愛い…。
あれ…座る佐久間の足…。下駄の鼻緒で靴擦れしてる…。
なんで言わないんだよ…。
佐久間は1匹しか掬えなかった。
話しかけてる時間の方が長いし、金魚に遠慮して追いかけないから…。隅にいる赤い少し小さめな金魚だけ、佐久間は掬えた。
｢お兄ちゃん、はいよ｣
ビニール袋に入った小さな赤い金魚を見つめる。
佐久間、金魚と会話してるの？
神社を出たところで、佐久間に和菓子の袋を渡す。
佐久間の前にしゃがみこんだ。
阿｢佐久間、乗って｣
佐｢え｣
阿｢足痛いだろ｣
佐｢うん…ありがとう｣
佐久間を背負って歩く。浴衣で足がはだけてるが夜だからいいだろ。
佐｢あべちゃん…｣
阿｢佐久間、どうした？｣
佐久間の顔が見えない…。
佐｢この子、さみしくない？｣
金魚のことか。俺の肩が冷たい。
おい、お前泣いてるのか…。
佐｢もう1匹すくいたかった…｣
阿｢佐久間、金魚っていじめるんだよ｣
阿｢その子は佐久間に助けてもらったんだ｣
阿｢お前もヒーローだな｣
佐｢…うん、この子、大切にする｣
佐久間の涙が止まった頃、実家に着いた。
実家に入って、玄関で呼びかける。
阿｢お母さん、車貸して｣
阿母｢りょうちゃん、いきなりどうしたの？｣
玄関に出てきた母親が佐久間を見て驚いてる。
佐｢あべちゃんのお母さんこんばんはっ！｣
佐｢初めまして、佐久間大介ですっ！｣
阿母｢…こんばんは｣
阿｢佐久間送ってくから借りるね｣
弟がいなくて助かった。
玄関の鍵を持って、佐久間の手を繋いで家を出る。
お母さん、ごめんなさい。欲しいってうるさい孫は弟に頼んでよ…。
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雲外桃天(プロフ) - ryolinzuさん» ryolinzuさん、コメントいつもありがとう。感想に励まされてます。どうしても甘々だけが書けなくて。題名の翡翠の憂鬱が常に根底にあります。お母さんの話がまた次の彼のテーマになってきます。応援よろしくお願いします。 (2020年7月12日 9時) (
レス) id: f51f04739e (このIDを非表示/違反報告)
ryolinzu(プロフ) - 縁日編。わらび餅ちゃんが、これから いい仕事してくれそうと思いつつ・・・。お母さんのお話に感動。着眼点がすごい。甘々だけじゃなく、切なさとか想いの強さとか未来への視線とかにもつながっていって。あぁ言い足りない。うまく言えないけど、応援してます。 (2020年7月12日 1時) (レス) id: cd12b45917 (このIDを非表示/違反報告)
かおる(プロフ) - こんばんは。縁日編、デート中のお話がとても可愛らしかったです！その分緑さんがお母さんにごめんなさいと思うたびに切なくて涙が出たり、桃さんの指輪のおねだりにキュンキュンしました。次は旅行編も続きのお話を楽しみにしています。寝ぼけ緑さん可愛かったです。 (2020年7月11日 23時) (レス) id: 9b48f7b356 (このIDを非表示/違反報告)
雲外桃天(プロフ) - 有希さん» コメント嬉しいです。反応ないとつまらなかったかなと…。全部書き直してみたり。ありがとうございます。似てるんですね。指輪のお話は当分先になりそうです。お待ちください。必ず書きます。 (2020年7月11日 22時) (レス) id: f51f04739e (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 度々コメントしちゃいます。私もHSPの傾向が強く、とても泣き虫です。そこそこ頻繁に物語を読みながら涙を流します。。。共感できる部分があるのかなぁと勝手ながら感じています。 あ、桃さんが待ち望んでいる指輪のお話を私も首を長くして待ってますね。 (2020年7月11日 20時) (レス) id: dc762760d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雲外桃天 | 作成日時：2020年7月9日 15時
