桃色の指先と翡翠の憂鬱 〜Another Story〜

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深｢ひかる、聞いてくれる？｣

ふっかは親指を噛んで、ノートパソコンの画面を見たままだ。

照｢うん｣

深｢俺さ、中学の時、クラスにいじめられてる子がいて、何も出来なかった｣

照｢いじめ？｣

深｢クラスで集団無視してさ、その子が話すだけでくすくす笑って｣

照｢それで？｣

深｢そいつさ、小学校の時はいじめられるタイプじゃなかったのに、中学って目立つ子と、地味な子に分かれるじゃん。その子は地味な子で、俺はその子と普通に接してたんだけど、仲間外れに俺もなるんじゃないかって、見て見ぬふりをしたんだよ｣

照｢よくある話だよね。いじめを止めたら次の標的になるって｣

深｢そうそれっ｣

照｢その子どうなったの？｣

深｢不登校になって、卒業式も出なかった…｣

ふっかが上を向いて涙を堪えてる。

照｢ふっか…｣



深｢高校に入ってさ、俺は1人でいるやつに声を掛けようって決めたんだ｣

照｢それで俺？｣

深｢いや、ひかるはいじめられるタイプじゃないじゃん｣

照｢うん。まぁね｣

深｢だけどよ、これ見ろよ｣

ふっかが見せてくれたパソコンのスクリーンショットには、バスケ部の深澤ムカつくって書かれていた。

照｢ひどいね｣

深｢俺さ、なんとなく人の気持ちがわかるんだよね。考えてることとか。こいつは俺の事好きか嫌いかって｣

照｢うん｣

深｢でも、これ見てよくわかんなくなった…｣

照｢ふっか…｣

深｢ひかるは、心に闇がない｣

照｢そう？｣

深｢うん、そう。だから、俺はひかるが好き｣

照｢ありがとう｣

深｢なぁ、お前、俺と組んでこいつら叩き潰そうぜっ｣

照｢わかった、やるよ｣

深｢俺とひかるの約束なっ｣

ふっかが右手の小指を出して、俺もそれに小指を絡ませて指切りげんまんをした。

照｢なんか、子供っぽい｣

深｢いいんだよっ、俺らはまだ子供なんだから｣

照｢そうだね、ふっかを怪我させた先輩たちのことも俺はなんも出来なかったよ｣

深｢俺たち、一緒に頑張ってさ、いじめるやつとか、ひどいことを言うやつをとっ捕まえてやろうぜっ｣

照｢うん｣

ふっかが握りこぶしを出して、俺も握りこぶしを当てて返した。

深｢これ、俺らの合図なっ｣

照｢オッケー｣


ふっかのためにも、人を助けるためにも俺は警察官になる。

隠れてこそこそと、悪口を書くやつらをいつか必ずこの手で捕まえるんだ。

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