検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:64,335 hit

25滴目 ページ26

**

「あ、おかえりーって、Aさんどうしたの?顔色が悪いけど……」
『あ、あはは、ちょっと具合悪くなっちゃって……ごめん、今日の放課後ナシにしてもいいかな』

教室に帰るとスマホをいじっていたきんときくんが私の顔を見た途端にこちらへ駆け寄ってきた。

そんなに酷い顔してたのかな、私。


「え、うーん、具合が悪いなら仕方ないね……家まで送るよ」
『いや、大丈夫。一人で帰れるから』

彼の顔も見ずに鞄をつかみ、教室を出ようとしたら待ってよ、と腕を掴まれた。

「そんな顔してるのに1人で帰せるわけないでしょ」
『大丈夫だってば、ちょっと気分悪いだけで1人で帰れるから』
「はぁ、頑固だなもう…… 」

きんときくんが言えることじゃないでしょ、なんて軽口を叩こうとしたら優しい力でくいっと腕を引っ張られた。


「そんなに1人で帰れるって言うなら、ちゃんと俺の目を見ながら断ってよ」
『え、なんで、そんなこと、』
「ほらいいから!1人で帰れるの?本当に?」
『か、帰れる……』

私は彼の目を見ながら言うことはできなかった。おまけに声だってとても小さい。これでは心配してくださいと言っているようなものだ。

しかし、彼にこれ以上気を使わせたくはない。
私はもうそのまま腕を振り切って出ていこうとした。


「……ねえ、ちなみにAさんが掴んでるの俺の鞄だよ」
『へ!?うそっ、あ、』


……しまった。

「ふふっ、嘘でした!やっとこっち見てくれた」
『う、うう……もう!』

26滴目→←24滴目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
162人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana  
作成日時:2021年1月30日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。