6冊目 ページ21
*
『………』
「………」
かつてこんなにも最悪な空気感の買い物があっただろうか。
……いや、そういえばあったな。私が中学生のときお兄ちゃんにゲームで煽られて以来しばらくこんな状態が続いたっけ。
その頃はまだよかった、だって時間が解決してくれる問題だったのだから。
だけど今回は少し違う。よりにもよってお兄ちゃんに好きな人がバレたなんて、しかもその相手はお兄ちゃんの友達だなんて。
そんなの思春期真っ盛りの私にとってはまあまあな地獄なのだ。
「母さん何買ってこいって？」
『洗剤ティッシュシャンプーサラダ油。あ、牛乳もだって』
「重いもんばっかだな……」
必要最低限の会話を終えればまた沈黙。この状態はテスト期間からずっと続いていた。
別に喧嘩したとかではないけどなんとなく気まずい。心做しかお兄ちゃんもずっと怒ってるような雰囲気を出してるから話しかけにくいし……そんなに嫌ならブックカフェのこと最初から教えなきゃよかったのに。
私は手に取った洗剤をお兄ちゃんの持つカゴへ乱雑に投げ入れた。
『……げっ』
「なに」
『お母さんもお父さんも帰り遅いから2人でなんか食べてこいだって』
「ふーん。何食べたい？」
『なんでもいい』
スーパーでお会計を終えて、お兄ちゃんに重い方の袋を押し付ければ私のスマホにはごめんね！のスタンプが送られていた。
よりにもよってこのタイミングで……
「何怒ってんの」
『怒ってるのはしゃけの方でしょ』
「別に怒ってないけど。……あそこでいい？」
お兄ちゃんが指差したのはファミレスだった。ほんとここ好きだなぁ、お兄ちゃんが高校生だった頃もよく連れていかれてたっけ。
窓際の席に通されて、メニューを開いてはまた無言。
はぁ、なんか食べる気すら起きないんだけど。
「何にすんの」
『パスタ』
「どれ」
『ミートソース』
「ん」
単語しか発さないこの会話は、果たして会話と呼べるのだろうか。
お兄ちゃんに注文を任せてぼうっと外を眺めていると、なんとなく嫌な視線を感じた。
『……なに？』
「いや別に」
『用がないなら見ないでよ。キモい』
きっ、と睨みながらそう返せばお兄ちゃんは珍しくしゅんと眉を下げた。なにそれ、そんな顔したって全然可愛くないんですけど。
あぁでも、スマイルさんがそんな表情になったらかわいいんだろうな……ちょっと想像つかないけど。
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ふわぴ(プロフ) - うわ〜っ！ありがとうございます！！私もしらたま。さんの作品はこっそり読んでいて大好きな作者さんだったのでコメントまでいただけてめちゃくちゃ驚いてます…！うれしい😭😭こちらこそ最後まで読んでくださってありがとうございました!! (3月11日 0時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - 美月さん» わ！嬉しいお言葉ありがとうございます💖こちらこそ、数多の作品で溢れている中この作品を見つけて下さりありがとうございました…！見つけてもらえてとっても嬉しかったです🥰 (3月11日 0時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - ふりかけ。さん» ありがとうございます〜!!長編を書くのに慣れてなくて関係性の作り方等おかしくないかな…とちょっぴり不安だったのですが、気に入ってもらえて頑張った甲斐がありました😭✨ (3月11日 0時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - Larimerさん» コメントありがとうございます！smさんとの会話はできるだけリアル感が出るよう考えて書いてたので褒めていただけて嬉しいです…！完結までお付き合いいただきありがとうございました💕 (3月11日 0時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
しらたま。(プロフ) - 初めまして、初コメ失礼します！完結おめでとうございます✨密かにずっと読ませて頂いておりましたが、とても面白かったです。いつも投稿楽しみにしてたので終わってしまうのが勿体ないくらいです笑 素敵な作品をありがとうございました！ (3月7日 8時) (レス) id: a02f9236c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2024年1月20日 20時
