. ページ3
**
いつもはドライヤーってうるさいなと思うけど、なぜか今日だけはその音が心地よかった。
他人に髪を乾かしてもらうなんて、小学生のときお母さんにやってもらって以来だなぁ。
あのときも温かくてよくうとうとしてたっけなぁ。雨に打たれて体が疲れたのか、今も若干眠くなってきていた。
スマイルにしては優しく、でもやっぱりちょっと雑な手つきでさらさら、わしゃわしゃと髪を触られる。
一体どんな顔でやってるのかな。
スマイルは大学でも私のことをよく気遣って……というか呆れ果ててお世話をしてくれる。
小さい頃から大きくなった今までスマイルのことを見てきたんだから、彼の顔のバリエーションは誰よりも知っているはずだ。
でもさすがに幼なじみとはいえ、女の子の髪を乾かしているのだ、しかもあのスマイルが。
これで無表情だったらそれはそれで乙女として傷ついてしまうんだけど。
気になって仕方がないけどいきなり彼の顔を覗き込むとまた嫌な顔をされるだろう。最悪ドライヤーを放棄し出すかもしれない、我慢しよう。
「はい、終わった」
最後にぽすっと頭に手を乗せたのが合図だったのか、ドライヤーの音は止まり部屋の中はしんと静まり返った。
一人暮らしのスマイルの部屋、初めて入ったけどやっぱり私と違って綺麗だなぁ。
今日だっていきなり押しかけたような形になったのにも関わらず一切片付けをしなかった辺り、普段から整理整頓がきちっとされているのだろう。
私だったら人を呼ぶのに最低一日は部屋の片付けにかかりそうだ。
そういえば前に一人暮らしだからって気を抜いて部屋を汚くしたらスマイルに言い付けるってお母さんに脅されたこともあったっけ。どんだけ娘のこと信用してないんだか……
「それで？今日はなんであんな奇行に走ってたんだよ」
髪がいつものようにサラサラになった私の正面で、まるで説教でも始めるのかと言わんばかりに腕を組んだスマイルが問いただす。
私は別に嘘をつく理由もなかったのでこれまであったことを全て話した。
やだな、こいつまたやったのかと思われるんだろうな〜と思いながらも振られた話を進めると、予想通りスマイルの顔はだんだんとしかめっ面になっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわぴ(プロフ) - 理想だなんて嬉しいお言葉ありがとうございます😭短いとどうしても内容はちゃんとしてるかな…？と不安になってしまうのでそう言っていただけて幸いです✨ (2021年9月22日 9時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！一気読みにちょうど良い長さでしたでしょうか…喜んでいただけて嬉しいです！☺️ (2021年9月22日 9時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - サクッと読めるのに中身がぎちぎちにつまってる素晴らしい短編小説でした…。まさに私の理想はこれです…。すごい…。素晴らしいお話をありがとうございました! (2021年9月21日 20時) (レス) @page11 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 一気読みしました。最高です！ (2021年9月19日 19時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年9月17日 13時
