雨色ピース ページ1
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『えぇ……好きな人できちゃったの？』
衝撃の告白を聞いた直後に口から出たのはまるで他人事のような言葉だった。
季節は秋。ちょっと涼しくなってきて、お昼の日の差し方もなんだか物悲しくなってきた頃。
今日はめちゃくちゃ雨降ってるから日差しは関係ないけど。
彼氏に話があるとカフェに呼ばれて席に着いてすぐ、落ち着く暇もなく彼の口からは残酷な言葉が告げられた。
「ごめん、だから別れてほしい」
『はあ』
「ほんとにごめん、この間あげたそのネックレスも売っちゃっていいから！」
胸元で揺れるネックレスを何となく握りしめながら、その後も彼の謝罪をぼーっと聞き流していた。
えー、私また彼氏いなくなるんだ。
今までも何度か彼氏というものはできたものの、浮気されたり変な宗教にハマって聞く耳を持たなくなったり、私にばかり奢らせてこようとしたり。
そんな悲惨な恋愛ばかりしていたせいかまあまあ絶望的なこの状況でもまたかぁと思うことしかできなかった。
でも今回はまだ好きな人ができてしまっただけだ、浮気されたわけではない。
致命傷にならずに済んだな、と思いながら私は未だ謝罪を続ける元カレを一瞥して店を出た。
*
「……は、なにしてんのお前」
『え、スマイル？』
何をするでもなくざあざあと降り注ぐ雨の音をぼうっと聞きながら歩いていると、前から馴染みのある声が聞こえた。
それは小さい頃から一緒に育ってきた友達、スマイルだった。
住んでる家が近かったから小、中、高とずっと一緒だったし、まさか他県の大学まで被るとは思わないだろう。
そんな切ろうにも切れない友人である彼は目を見開きながら私に傘を向けた。
「お前バカか？」
『なにが』
「なんで傘差してないんだよ。今日朝から雨降ってただろ」
不思議なものでも見たかのような彼の声を聞いて自然とあっ、と声が漏れる。
今日はやけに雨の音が鮮明に聞こえるなあと思っていたが、そういうことだったのか。
傘、カフェに忘れてきちゃった。
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ふわぴ(プロフ) - 理想だなんて嬉しいお言葉ありがとうございます😭短いとどうしても内容はちゃんとしてるかな…？と不安になってしまうのでそう言っていただけて幸いです✨ (2021年9月22日 9時) (
レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - のんさん» ありがとうございます！一気読みにちょうど良い長さでしたでしょうか…喜んでいただけて嬉しいです！☺️ (2021年9月22日 9時) (レス) id: 159c9c50ae (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - サクッと読めるのに中身がぎちぎちにつまってる素晴らしい短編小説でした…。まさに私の理想はこれです…。すごい…。素晴らしいお話をありがとうございました! (2021年9月21日 20時) (レス) @page11 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 一気読みしました。最高です！ (2021年9月19日 19時) (レス) id: abc489c33a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふわぴ
| 作者ホームページ：http://urana
作成日時：2021年9月17日 13時
