しっぽえにっき【合作企画】 (ページ2)

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ジリジリと熱の籠ったコンクリートが揺らいで見え、額や背中が汗み、シャツが張り付いて気持ち悪い。茹だる夏とはまさにこのことだろう。

そんな逃げ水の発生する蒸し暑い場所から逃れるように、自分の家から少し歩いて彼女の家に雪崩れ込んだ。いつも通り彼女の親に会釈し、彼女の部屋の前でノックをすれば少し控えめの柔らかな声が聞こえた。

『来てくれてありがとね、スマイル』

ベッドに横たわった彼女が身体を動かしながら嬉しそうに頬を緩めた。

「起き上がるなよ、病人は大人しく寝とけ」

『はーい』

不器用な俺の回りくどい言葉の本質を受け止めるのが上手い彼女は、緩んだ頬をさらに緩ませてシーツに身体を預ける。

昔から、身体の弱い彼女はよく学校を休んでいた。幼い頃は入退院を繰り返していたが、最近では自宅療養で完治できる程良くなっている。

それでも、やはり彼女的には多く学校を休んでしまっているのは辛いのだろう。遠足の班決めや係の仕事などを自分で決められなかったり、勉強が追いつかなくて困ったり、学校で育てている自分の花の世話をできなくなるのは嫌だと言っていたのをよく覚えている。

まあ、遠足の班や係は俺と一緒だし、勉強だって俺が教えている。アサガオだって俺が自分のアサガオに水をやる時に彼女のアサガオにも水をやっていたから、どうしようもないくらい困ってるってことはないだろうが。

『ね、アサガオ大丈夫だった……？』

「安心しろ、綺麗に咲いてたぞ」

不安げに瞳を潤ませる彼女。そんな彼女の頭を慣れない手つきで撫でてやれば、安心したように破顔した。

『良かった……』

彼女は学校を休むと、班決めや勉強よりもアサガオのことを心配する。別に花くらい生きていればいつでも育てられるのに。彼女本意のこの考えは、今学校で育てているアサガオを大切にしている彼女に伝えるのは流石に酷だからやめた。

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