4話目 ページ4
先輩を飲みに誘ってからというもの、あまりにも遠慮がちに飲んでいたので何回も遠慮しないでと伝えるとすっかり酔ってしまった。
今日の仕事の手伝いだって、何回か言ったら最終的には手伝わせてくれた。
…押しに弱いんだな、この先輩。
俺がこの会社に来てから数ヶ月が経った。どうしても無愛想になってしまう俺に対して、先輩ははじめからとても優しく仕事を教えてくれた。
正直、俺は先輩のことが少し気になっている。出会って数ヶ月で…なんて自分でもおかしく思うが、それでもなぜか気になるのだ。
初めてそう思ったのは俺が仕事でミスをしたとき。
提出した書類に割と大きめなミスがあったらしく、上司に呼び出しを食らったことがある。
ああ、確かこの人先輩の嫌いな上司なんだっけ、とか思いながら説教を受けるための心の準備をしていたら、後ろからあ、すいませんそれ私の作った書類です、と声が聞こえた。
shp「え、先輩…」
『はあ?これはこの子が作った書類でしょ。あなたは関係ないわ』
『いえ、私が作っていたものを少し手伝ってもらったので、ミスした部分は私の作ったものです。申し訳ありませんでした、すぐにやり直します』
shp「せ、せんぱ、」
『…あっそ。じゃあさっさとやり直してきなさいよ。入って結構経つのにまだこんなミスするとか…いい加減にしてくれる?』
『はい、以後気をつけます。ほら行こう東雲くん』
shp「え、あ、はい…」
全部俺が作って、俺がミスしたものだったのに、わざわざ嫌いな上司に楯突いてまで庇ってくれたのだ。
いつもと違ってあまりにも凛々しい顔をしていたので、会話に入ろうとしても入れなかった。
shp「先輩、すいませんでした…」
『ん、全然大丈夫!あの上司、突っかかってくるとほんとめんどくさいからさ、私の後輩には手出されたくなかったってのもあるし』
怒られたあとだと言うのに、先輩はへらへらと笑っていた。
そのあとは書類について少し注意を受けたが、そのあと私がちゃんと教えなかったのも悪いし、分からないとこがあったらすぐに頼ってね、なんて言われた。
多分このときに、人間としてこの人のことを尊敬して、好きになったんだと思う。
しかしそれは徐々に女性として好き、という感情に変わっていってしまうのだった。
でも、こんなかっこいい人になれるようになりたいって、そう思った。
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ふわぴ(プロフ) - 紫崎 亜弥さん» 修正いたしました、ありがとうございます! (2019年11月26日 21時) (レス) id: a7c055b2fc (このIDを非表示/違反報告)
紫崎 亜弥(プロフ) - サブタイトルが1つとばしてますよ (2019年11月26日 20時) (携帯から) (レス) id: 598bb1266d (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - 豆鳩さん» こういう邪魔が入るありがちな展開めちゃくちゃ好きなんです!wありがとうございます!ゆっくりですが頑張って更新します!!! (2019年11月5日 23時) (レス) id: a7c055b2fc (このIDを非表示/違反報告)
豆鳩 - 見てる途中、「ごらぁ上司なに余計なこといっとんじゃ」って言ってましたね、ハイ(((内容自体面白かったり、せつなかったり涙でそうでした(更新全裸待機しときます(`・ω・´)キリッ (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8b3ed09eb3 (このIDを非表示/違反報告)
ふわぴ(プロフ) - あかさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの異動という字は仕事の部署が変わるという意味ですので移動ではなく異動にしております・・・!細かいところまで読んで頂きありがとうございます! (2019年10月23日 18時) (レス) id: a7c055b2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわぴ | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2019年9月23日 13時