3.放課後、君と ページ13
今日はいつもより校門の方が騒がしい。
半日授業でみんなが浮き足立っているのはわかるけど、それを踏まえた上で賑やかだと思う。ざわざわというか、きゃーきゃーというか、女子の声が多い気がする。
そんな彼女たちを尻目に腕時計を確認すれば、 もうすぐ1時。彼との約束は1時半の筈、急がなきゃ…と足を早めた。
彼とのデートが久しぶりで、メイクや髪型に時間をかけすぎてしまったな。と、少し反省しながら校門をくぐれば、ぐいっと腕を引かれる感覚。
驚いて顔を上げれば、見慣れたスピネルの瞳と視線がぶつかった。
「え？」
口から漏れた言葉が、「久しぶり」でも、彼の名前でもなかったのがお気に召さなかったのか、彼は少しむっとした表情で、
「遅い」
と一言。彼がここにいることが衝撃的で、反応できなかった私の両のほっぺたをむにーと伸ばすと、
「あまりに遅いから迎えに来てやったんやぞ。感謝せえよ」
と憎まれ口を叩く。
「約束1時半だったでしょ！」
私はちゃんと時間守ってるもん、と反論すれば、は？1時やったやろ？と返された。
不安になって携帯を確認しようとすれば、
「嘘やけど」
といたずらっ子の様な笑顔。だめだ、この顔にどうしても弱くて、小さなことなら許してしまう。
「ほら、早よ行くで」
そう言って歩き出した彼の背中を追いかける。いつもより少し早足なのは、私たちに注目してた子たちが多くて、恥ずかしかったから？
曲がり角を曲がったあたりで追いついて、彼から自然と差し出された手を繋ぐ。
「校門の前でなんてよく待ってたね」
「は？」
「可愛い子に声かけられなかった？」
「なんや、嫉妬か？」
ニヤリと笑う彼に、そうだよ。と小さな声で答えれば、握られた手に力がこもった。
「心配せんでも、俺が好きなのはAだけやから。今日バイク置いてきたのも、Aの学校のやつらに俺らの中見せつけるためやしな」
太陽に反射して彼の瞳がキラキラと輝く。君のその笑顔が好き。わたしの名前を呼んでくれるその声が好き。
「私も、ショッピくんが1番だよ」
ぽんっと頭の上に手が乗せられる。
「なに？照れちゃった？？？」
彼の顔を覗こうとするけど、片手で隠されてうまく見えない。
「あれ〜〜しゃいなショッピくんは照れちゃったかな〜〜？？」
普段の仕返し、とばかりにからかえば、調子に乗んなという小さな声がして、頭の上に乗せられた手にわしゃわしゃとかき乱された。
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