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そんな話をしてから1年くらい。
今日は2月2日、言わなくても何の日かわかるよね。
食卓には珍しく花瓶を置いた。
その中には白と紫のパンジー、白のフリージア、紫のアネモネ。
ご飯は全て彼の好きな物、ランチョンマットは薄い薄い紫、白いカトラリーが映える。
がちゃん。
「ただいまー。」
今日は彼が中々仕事が終わらなくって…………ってわけではない、元々私が休みを取っていたのだ、今日のために。
ぱたぱた、ふわふわのスリッパを鳴らす。
『おかえり！』
鞄を受け取る、なにか、隠してる？
『……ねえ、何持ってるの？』
「うわ、めざと。まだ秘密や。」
『え〜……。』
「え〜……やない。」
ぼす、と珍しくジャケットやネクタイまで預けてきた。
大人しくハンガーにかけに行くことにする。
シャツのボタンを1つ開けながらリビングへ来た彼は目を丸くさせた。
「え？なにこのご馳走、俺の好きなもんばっかやん。なんかあったっけ？」
『覚えてないの？今日は“ショッピ”の誕生日だよ？』
そう言うと彼は呆れた顔。
「おま、違うのあるやろ……。」
他に何があるというのか、こんなにめでたいのに。
「ほれ、やる。」
渡されたのは薄紫色の花束、ブーケほど大きくはなくコンパクトで可愛らしい。
「シラーって花、2月2日の誕生花なんやって。」
『へえ……、かわいい……。』
まじまじと見れば花の中にきらりと光るものを見つけた。
……指輪？
手に取ってみれば裏側に小さな小さなアメジストとダイヤの埋まった指輪だった。
「アメジストってな、ギリシャ語で“酒に酔わない”って言葉が名前の由来らしいで。せやからキリスト教的には“人生に悪酔いしない”って認識らしいわ。」
『既に君に酔わされてるんだけど。』
「ッふ、せやな。だから俺以外に悪酔いせんように…………………………って思って買ってきたんやけど、ちょっと痛いわ、聞かんかったことにして。」
『ええ…どうしよっかなあ。』
「聞かんかったことにして。」
『ふふ、はぁい。』
「そんな話がしたいんとちゃうねん」
貸せ、と言うので花束を渡せばリボンを解き、その包装紙になっていたレースを私にかける。
当然の様に左手を取られ、いつの間にか彼の手に渡っていた指輪が薬指へ。
覚えがある、これは、幼い時の。
「シラーの花言葉はな、」
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