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……随分と懐かしい夢を見た。
「最初から離す気なんて無いんで」
その言葉通りに私と同じ大学に入学してきたのだから、もう驚きを通り越して笑ってしまった。
どれだけ私の事好きなんだよ、この男は、と。
「…なに、朝から人の腕ん中でにやけてるんすか。きもちわるい……」
さっきまで寝息を立てていたショッピは目を覚まして、私を怪訝そうに見ている。
「懐かし夢を見たからつい、ね」
「アンタがそういう時って大体が高校の時のでしょ？ほら、あのカフェの」
ふぁ、なんて間抜けな声を漏らして欠伸をする姿はそんなに変わらないけれど、まだ私よりは幼く感じた。
「よくわかったね」
「何年一緒にいると思ってんすか」
「5年？6年？それくらいじゃないっけ」
あの頃は1年しか一緒にいられないと思い込んでいたのになぁ。気付いたらその何倍もの時間を隣で過ごしてきた。
「そう、そうっすよ。だからそれくらいわかります」
こつん、と額を合わせて彼が微笑む。ふわふわの綿菓子のような甘さ。
いつか溶けてなくなってしまうのは怖いな。
でも私も彼から離れる気はないし、彼も私を離す気は無いのだから溶けてしまうことはない。それがどうしようもなく安心する材料になる。
「それより、今日ご飯なに」
「何がいい？でもそれより離してくれないと朝ご飯作れないんだけど」
「離す気無いんで無理なお願いやな〜」
「じゃあご飯食べないでいいよ」
「いや、ちゃうやん…」
軽口を叩き合いながらショッピの腕から抜け出して、振り返ると寂しそうにする。
「ご飯作るの手伝ってくれたらちゅーしてあげる」
「起きる」
勢い良く起き上がる彼は単純だと思いながらキッチンに向かった。
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