「誰がトナカイだ」 ページ33
「んぁ、すんません。あ、Aさんか」
「え、トントンさん…！！」
「えらい音したな…すみません」
思わず「営業部の」という代名詞も言いそうになり、慌てて脳内からアウトプットした。
痛さで一歩下がれば体の大きいトントンさんが出てきた。朝から製造部に来る必要があるのか、それはもしかすると先週のコピー機の件か、私か。というか名前で認知されてるのに驚いた。多分鬱先輩だろうな(半ギレ)
「だい、大丈夫です」
「大丈夫やないでしょう、鼻赤いっすよ」
反射で鼻を触ったが、色の判断なんかできない。誰がトナカイだ、とかは言えるわけない。まだ少し目が滲んでいて、良いとは言えない視力でトントンさんの顔を伺うのは難しい。怒ってたらどうしよう。
「…コピー機」
「コピー機？」
「壊してしまってすみません。しかも他部署の奴が…」
「あぁ、あれな。相当古かったしAさんが触っとらんくても寿命で死んでましたよ。」
って、さっき製造部の上の人が。
それを聞いて少し安堵してしまった。反省はちゃんとしている。とにかく、トントンさんが怒ってないという事を知れて十分だ。『営業部のトントンさん』は怒ったら怖そうだし。
「今、案外怒ってへんのやって思いました？」
某ハートくんみたいな心の内を見透かされたように言われ、ビクッと肩が動いた。
「大体分かりますよ、思っとること。てか、まあ、『営業部の』俺は怖いとかなんとかあるらしいですしね」
「知ってるんですか……」
心臓が煩く鳴り始めた。今は私は地雷を踏み抜いてしまったのかもしれない。製造部が名付けたなんてもうとっくにばれていたのだろう。そして私は製造部の社員だし確実に軽蔑される。
「だから、怒ってませんって。あだ名みたいなやつやろ、身内からあだ名の方がよっぽどエグいわ」
ぴしゃりと答えられて、でも少しずつ心臓の音も収まってきた。意外と朗らかな人で威圧感は変わらないけど、はあ とため息を吐く姿は逆に子供を叱るお母さんのように見えた。
「てかもう時間やし、止めてすみませんね」
「いえ…あっ！待ってください！」
急いで引き止めて、紙袋から昨日水族館で(ショッピ先輩が)買ったクッキーの箱を取り出し開ける。
「お土産です！」
「か、かわ…。他部署なのに良いんですか？」
「構いません！」
アザラシを見たトントンさんの顔がもっと柔らかくなった。本当に見かけによらず暖かい人なんだなとしみじみ思う。これもギャップってやつか…。
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のえる(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！（遅い）しんどすぎてバスの中で泣きましたありがとうございます (2019年12月15日 10時) (
レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
宮野(プロフ) - めいさん» コメントありがとうございます〜！きゅんきゅんも笑いもとれて嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8843cf1b8 (このIDを非表示/違反報告)
宮野(プロフ) - みぞれさん» コメントありがとうございます〜！いつも応援させて頂いてるみぞれさんの心臓を掴めて嬉しい限りです…！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8843cf1b8 (このIDを非表示/違反報告)
宮野(プロフ) - カナさん» コメントありがとうございます！やっと完結することが出来て良かったです…！これからも頑張っていきます〜！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8843cf1b8 (このIDを非表示/違反報告)
宮野(プロフ) - 外ピさん» コメントありがとうございます！匂わせどうしよう、って考えてたらぐんかんの切り抜き見て参考にしました〜…！ (2019年12月7日 12時) (レス) id: f8843cf1b8 (このIDを非表示/違反報告)
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