ごめんなさい ページ37
弓弦くんに、話したいことがあるとメッセージを送ると、わたくしもございますと返信がきた。
本当は電話ででもすぐに話をしたかったのだけど、どうしても顔を見て話をしたくて次の日の放課後にわたしの屋敷で会うことになった。
弓弦くんは来てくれるか不安だったけど、時間になると玄関の前に立っていた。
「弓弦くん…」
「…お話を伺いに来ました」
そういう彼をとりあえず応接室に通した。
いつもは無駄に広い机が置いてあるのだけど、あえて今日は小さな机とソファだけを置いた。
そこに2人で腰掛ける。
向かい合わせはなんとなく避けた。顔を見るのが少し怖かったから。
しばらく沈黙が続く。
弓弦くんは今どんな顔をしているのかしら。
このまま黙っていても仕方ありませんよね。
覚悟を決めましょう。
「「あの…」」
弓弦くんも話し出そうとしたみたいで、被ってしまった。
「…Aからどうぞ」
弓弦くんの声にわたしは頷く。
**********
弓弦side
「あの…ごめんなさい。この間は、わたしも大人気なかったです。弓弦くんは日々樹様に迷惑をかけてしまうわたしが良くないと思って怒ってくれたのに。
たしかに、気球なら姫宮家でも用意できるものね。わざわざ日々樹様の迷惑になる方法を選ばなくてもよかったわ。このカスタネットは返します…ごめんなさい。わたしが子どもすぎた」
Aはそう言って小さくなられた。
おや?
「話とはそのことですか?」
「え?」
「わたくしはてっきり別れ話でも持ちかけられるのかと」
そう言うとAはこちらを向いて、目を見開いた。
「何を言って、なんでわたしが弓弦くんのこと嫌いになるわけ…。むしろわたしの方が嫌われてもおかしくないことをしたのに…」
「Aが何をしようとわたくしがAを嫌いになることはありません」
長年好きだったのに、いまさら嫌いになる要素がどこにあるというのでしょう。
「いえ、わたくしがあまりにも身勝手な理由で今回離れてしまいましたし、定期的な連絡も取らず蔑ろにしてしまって…。自分でも最低なのは理解していたのですが、謝る勇気が出ず。本当に申し訳ありません」
Aはきょとんとしている。
そうでしょうね。
わたくしは別に日々樹様の気球には1ミリも怒っていないのですから。
まずはそこからすれ違っているのです。
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宝(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます!弓弦お好きなの嬉しいです〜(*^^*)おもしろいと言ってくださってありがとうございます!応援もありがとうございます!最後まで走りきります (7月5日 20時) (レス) id: 2151f87f60 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 弓弦の夢小説少ないので嬉しいです(;_;)すごく面白いです応援してます! (7月4日 23時) (レス) id: cb84109612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宝 | 作成日時:2023年7月3日 19時