クレープ ページ13
司くんの連れてきてくれたお店は、学院から近いけれどなかなか来ない場所だった。
「ここです」
店員さんの服も、壁も床もテーブルも椅子も全部が黄色だった。
店の奥にはフォトスポットもあって、新鮮な花束が側に置いてあった。
きっと、それを持って写真を撮るのだろう。
「金運が上がりそうなお店だね」
「そうなんです。ここのクレープを買った後に宝くじを買うとよく当たるという噂で、宝くじの販売期間の最終日なんかは混み合うようですよ」
本当に上がるんだ。
今はタイミングが良かったのか、わたし達以外お客さんはいなかった。
3人でメニューを覗き込む。
「いちごの種類がたくさんある」
あまおう、とよひめ、淡雪など、いろいろな品種のいちごのクレープがあるらしい。
「うーん、あまおうと淡雪迷うなぁ」
「では、わたくしがあまおうを注文いたします。Aさまは淡雪を。そうすればどちらも食べられますよね」
「えっ！？」
伏見様と！？
「お嫌でしたか？」
「い、いえ、そうしましょう」
司くんは密芋クレープを頼み、3人で店員さんの鮮やかな手捌きに感心した。
「こんなに早く作れるのね、クレープって」
「今度坊っちゃまの前でしてみましょうかね」
渡されたクレープを黄色の椅子に座って食べる。
伏見様のあまおうのクレープを先にいただくと、本当に甘くて美味しい。それに大きい。
「加工されたあまおうばかり食べていたけど、生も美味しいのね」
うーん、ためらうのもおかしいわよね。
でも少し恥ずかしいわ。
伏見様に一口かじったクレープを渡す。
淡雪のクレープは名前の通り本当に淡い雪のような白さのいちごなのに、味がちゃんといちごでびっくりした。
「すごいわ！いちごよ！」
わたしのはしゃぎように2人はクスクスと笑う。
伏見様の中に取り込まれていくあまおうのクレープをなんだか直視できずに目を逸らしながら食べる。
うーん、恋人のようなことをしてしまいましたわね。
伏見様と両思いかもしれないわたしの知らない女性に思いを馳せながら罪悪感を抱いてしまった。
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宝(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます！弓弦お好きなの嬉しいです〜(*^^*)おもしろいと言ってくださってありがとうございます！応援もありがとうございます！最後まで走りきります (7月5日 20時) (
レス) id: 2151f87f60 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 弓弦の夢小説少ないので嬉しいです(;_;)すごく面白いです応援してます！ (7月4日 23時) (レス) id: cb84109612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宝 | 作成日時：2023年7月3日 19時
