【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ34)

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234．ありがとうページ34

「よかったぁ……」

嬉しさを隠そうともしない綱吉は何かを思い出したように時計を見上げて「あ！」と声をあげる。驚いたAが彼の視線の先を見ようとした瞬間、綱吉はAの両肩を掴んで向き合った。

「誕生日おめでとう！」
「……え」
「どうしても俺が一番に言いたくて、本当は家に帰したくなかったんだ。Aには悪いけど雷に感謝だよ」

綱吉の言葉に我に返ったAが勢いよく時計を見上げると、既に針は十二の数字を指していた。二時間近く話していたのかと驚くAは、“一番に伝えたかった”という綱吉の言葉に頬が熱くなる。

照れたAが「ありがとう」と息を吐くように小さく呟くと、綱吉はベッドの下からプレゼントを取り出し軽くラッピングを整えAに差し出す。

「あげる」
「これ、私に？」
「そうだよ」

京子からの贈り物だと誤解していたAは喜びが隠せず「ありがとう」と素直に感情を表に出すと、綱吉は彼女の反応に軽く息を飲んだ。「ほら、開けてみてよ」と誤魔化すように言う綱吉に、Aは結んであるリボンに指先をかける。

中に入っていたのは小さなスノードームだった。キラキラ輝きながらも漂う雪の中に佇む小さな雪だるま。自分の好みを全て詰め込んだようなその美しさにAは言葉を失った。

「Aこういうの好きだろ？」
「……好きだよ、大好き」
「え、な、何でまた泣くんだよ」

嬉しいの、と呟き涙を流すAに綱吉が安堵していると「大切にするね。ありがとう綱吉」と続けて笑う。

そんなAの笑顔を見て綱吉は思わず目を見開いた。いつの日か自分には見せてくれなくなったAの表情だったからだ。そんな一番見たかったAの笑顔を見て、綱吉は長年の努力が報われたような気がした。

「Aの好きなプリンも買いたかったんだけど、今日は定休日だったみたいでお店が閉まってて……」

そう、綱吉がわざわざ買い出しの役割を買って出たというのに、彼の目的の店は開いていなかったのだ。だから今度買うから、と伝えようと綱吉が口を開くと「これだけで十分嬉しいよ。綱吉は優しいね」とAは言う。

「……よかったら、今度2人で買いに行かない？」

少しの間をおいて告げられたデートの誘いともとれる綱吉の言葉。彼が微かに顔を赤らめる様子に勇気を出してくれたのだと察したAは、今日は人生で一番幸せな誕生日だと泣きそうになりながらも「うん」と綱吉の好きな表情を見せた。