【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ30)

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230．俺が好きなのは、ページ30

「……そう、思ってた」

今度はAが目を見開く番だった。京子のことが好きだと思っていた、なんて急に告白されても『はい、そうですか』と受け入れられるはずもなくAは固まる。

綱吉はゆっくりとAに近付き彼女の傍で屈む。そうして、ベッドの下に手を入れてお菓子の缶を引き寄せて胸に抱えた。

「それ」

Aはその様子をじっと見つめているうちに、綱吉の抱えるそれが、以前、彼にプレゼントしたお菓子の缶であることに気付く。

大切な物を壊さないようにと慎重に扱う綱吉を見て、Aはふと自分の立てた仮説を思い出した。京子のお守りを大事な物だと言っていたし、あれの中身はきっと……。

見たくない、と顔が引きつったAの目の前で缶を開けた綱吉は「見て、これ」と小さな緑を取り出した。

「…………これって、四つ葉のクローバー？」
「Aがくれたんだよ」
「あのときの？まだ持ってたんだ」
「捨てられるわけがないよ。全部Aに貰ったものだから」

四つ葉のクローバーを渡され、身構えていたAは漸く緊張を解いた。そして「ほら」と見せられた缶の中身を見て、震えた息をもらす。

Aの目に映ったのは、隅々にわたる綱吉とAの思い出だった。2人の写真や交換していた手紙、一緒に描いたイラストや折り紙まで、いつ遊んだときの物なのか覚えていないAは、動揺が隠せないまま綱吉を見上げる。

「俺だってAのことで頭がいっぱいなんだよ」

綱吉からぎゅっと手を握られたAは、抵抗することなくされるがままに彼の隣に座り込む。ベッドのスプリングの音が微かに部屋に響き渡った。

「Aが他の男子と話すのも嫌だし、告白されてるとこなんて絶対見たくない」
「…………待って、綱吉」
「ダメツナの俺に唯一向けてくれてたAの笑顔が他のやつに取られる気がして、本当はずっと嫌だった」

察しの良いAは、すぐに綱吉の言いたいことを理解した。しかし、単なる喜びだけ満たされるはずもなく疑問は増えるばかりだ。ふと、Aの声を遮る綱吉の頬が赤みを帯びていることに気付いた彼女は、息をするのも忘れて一言も聞き逃さないよう耳を傾ける。

「＿＿＿＿俺が好きなのは、Aだよ」

涙が浮かんで目が熱くなるAに「隣にいるのが当たり前で、離れるのが辛くてたまらない」と続けた綱吉は、抱えた宝物に視線を落としたまま、Aと繋いでいる指先にそっと力を込めた。