【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ27)

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227．急にそんなこと言うなよページ27

「綱吉も京子の家に泊まれたらよかったのにね」
「はあ？」
「一緒にいるのが私でごめんね」

自嘲気味に笑うAの瞳に涙の膜が張られていることに気付いた綱吉は、動揺が隠せないまま「何言ってるんだよ」と口を開く。

自分を卑下するAに思わず強い口調で「誰もそんなこと言ってないだろ」と言うと、Aはゆっくりと瞬きをした。それが気持ちを落ち着かせている仕草だと気付いた綱吉は、我に返り慌てて口を閉じる。

「……まだわからない？」
「え？」
「私、綱吉が好きなんだよ」

目を見開く綱吉にAは「まだ、好きなんだよ」と呟く。限界とばかりに溢れた涙が頬を伝った。静かに涙を流すAは、綱吉のことになると感情がコントロールできない自分に嫌気がさしていた。……こんな姿ばかり見せて、好きになってもらえるはずがないのに。

「京子は可愛いよ。私とは違う」

京子のことは好き。だけど私は京子になれない。彼女に勝てるところが何一つ見当たらない。Aは誕生日を祝ってくれた京子の笑顔を思い出していた。今日のパーティーも貰ったプレゼントも、全てに彼女の温かい愛が感じられたのだから。

パラパラと強くなった雨が窓ガラスをノックする。綱吉の顔が見られないAは「他の女の子の話ばかり聞きたくない」と自分の気持ちに素直になることを選んだ。

「綱吉の好きな人の話なんか、聞きたくない」

Aは幼馴染の自分の方が綱吉との距離が近いと思っていた。しかし綱吉は数年しか関わっていない京子に好意を持った。

ふと、ベッドの下が視界に入りお菓子の缶やプレゼントの存在を思い出す。綱吉は点数の低いテスト用紙などの後ろめたい物は、全て引き出しに隠すような性格だ。ベッドの下という見えにくい場所に置いてあるということは、大切な物に違いない。

どうせ、缶の方には京子の写真や貰ったお守りを入れているはずだ。隣にあったプレゼントは、京子から貰ったクリスマスプレゼントなのだろう。

「ごめん、やっぱり帰る」
「ねえ待ってA！」

嫉妬して涙を流す惨めな姿を綱吉にこれ以上見せたくないAは、顔を隠して逃げ出そうと布団から出る。荷物を持って部屋を出ようとした瞬間、ベッドから転がり落ちるような勢いで綱吉はAの手を掴んだ。

「大雨だよ？夜遅いのに危ないって！」

Aの前に回り両肩を掴んだ綱吉は、説得するように「急にそんなこと言うなよ」と焦りを隠せないまま声を荒らげる。