【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ24)

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224．パジャマもあるのよページ24

「俺は、泊まるのは別にいいけど……」

勝手にするなよ、と呆れたように綱吉は呟く。

現在の彼は『同い年の女子生徒』という認識ではなく『ずっと一緒にいた幼馴染』としてAを見ている。ただの他人と家族のような存在。その認識の違いが、綱吉の平常心を保たせていたことに本人も気付いていなかった。

「ほら、パジャマもあるのよ」

準備万端とでもいうように紙袋をどこからか持ってきた奈々は「これがAちゃんの服！いつ来てもいいように買っておいたの」と笑った。

勝手に買い揃えたと言う奈々の手元には、綱吉と色違いのパジャマが掲げられていて、驚きを通り越して呆れて言葉も出ない綱吉は「ごめん、母さんが」とAの顔を覗き込む。

Aは距離の近い彼に言葉を返す余裕もなく、ただただ雷への恐怖に耐えていた。

心臓に響くような不快な衝撃音も、ピカピカと空を裂くような閃光も、綱吉が手を握ってくれるだけで落ち着けるような気がして、Aは目を閉じて指先の温もりに集中する。

「Aちゃん、どうしたの？」
「えっと、ちょっと寒いみたいなんだ……」
「風邪ひいたら大変！温かい飲み物を用意するわ」

Aが雷が苦手だという事実は昔から綱吉しか知らないことだった。2人だけの秘密。彼女の弱さを誰にも見せたくない綱吉は嘘をつく。

ふと、我に返った綱吉がキョロキョロと辺りを見渡し「リボーンのやつ、どこに行ったのかな」と呟いた。すると、その声に反応した奈々が「リボーン君なら、山本君の家に泊まるって言ってたわよ」とキッチンから顔を覗かせた。

驚く綱吉に、いつの間にか落ち着きを取り戻したAが「ビアンキさんとランボ君達もいないね」と続ける。Aの温もりをまだ感じることに気付いた綱吉は、それを誤魔化すように「本当だ」と口を開く。繋がれた手は、そのままだった。

「確か皆は京子ちゃんの家に泊まるって言ってたわね」
「んな迷惑な！」

騒ぐ綱吉を他所に温かいココアをAの前に差し出した奈々は優しく微笑む。

「この3人で過ごすのは久しぶりなんだし、楽しみましょう」

リボーン達が来る前までは、このメンバーで頻繁にお泊まり会をしていた。奈々は、綱吉とAを客観的に一番近くから見ていた人物でもある。

彼女は2人がギクシャクしていることに気付いたのではないだろうか。Aはこの流れの全てが奈々の企みによるものだと察して、彼女の優しさに「ありがとう」と笑いかけた。