【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ23)

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223．よくやってたじゃないページ23

「何か飲む？」
「……ううん」

雷への恐怖心から目を瞑り、震えている指先を袖口を限界まで伸ばして隠そうとするAに綱吉は声をかけた。変わってないな、と懐かしい気持ちに包まれた綱吉は俯く彼女の手を強引に掴んでリビングへと戻る。

「大丈夫だよ」
「無理してここにいなくてもいいよ。雨が落ち着いたらすぐに出ていくし」
「そんな冷たい言い方しなくてもいいじゃんか」

言葉では遠ざけようとしていても、何だかんだで綱吉の洋服を握りしめているところは昔から何一つ変わっていないらしい。

「それにしても、雷、克服できてなかったんだね」
「……悪い？」
「ううん。ちゃんと昔みたいに隣にいるから」

弱い部分を指摘されると機嫌が悪そうになるところも昔と同じ。綱吉はそれがどこか微笑ましく感じて「安心していいよ」と笑いかける。すると、Aは綱吉の隣に座ったまま話題を変えるように「奈々さんは？」と呟いた。

「あれ、そういえばどこ行ったんだろう」
「私が起きてから見てないけど」

姿が見えない奈々のことを気にしたAが顔をあげた瞬間、部屋の扉が開き「あら？Aちゃん起きたのね！」と明るい声が聞こえてくる。そこにはニコニコと笑う奈々がいた。

「あらまぁ、2人で並んで何話してたのかしら？」
「か、母さんには関係ないだろ！」
「邪魔しちゃったわねぇ」

うふふ、と笑う奈々は突然何かを思い出したように目を輝かせ「Aちゃん、夜は何食べたい？」と切り出した。想像もしなかった台詞にAが目を見開くと「お昼が遅くなっちゃったから、軽いものがいいかしらね」と彼女は冷蔵庫を開いて具材を確かめる。

「奈々さん待って、私そんなに長居しないよ」
「あら、そうなの？」
「……食べていかないの？」

綱吉の言葉に軽いため息をつきつつ「雨が落ち着いたら帰るよ」と奈々に伝えると、目をぱちくりとさせた彼女は「雨は明日まで止まないわよ」と言った。

「えっ」と声を合わせて驚く綱吉とAに、奈々は「それにAちゃんが泊まると思って、ツッ君の部屋にお布団敷いてきちゃったの」と続ける。聞き捨てならない言葉に「は、はあ！？」と綱吉が立ち上がって声を荒らげた。

「さっきからいないと思ったら俺の部屋にいたのかよ！」
「いいでしょ？よくやってたじゃない、お泊まり」

刹那、鳴り響いた雷にAの肩が揺れる気配がして綱吉は無意識に座り直し、震えるAの手をそっと握りしめた。