【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ22)

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222．それは俺の台詞だって！ページ22

フワッと毛布をかけられる感覚で目を覚ましたA。ゆっくり目を開けると、目の前には「ごめん、起こしちゃった？」と苦笑いする綱吉がいた。一瞬固まったAだったが、我に返り飛び起きる。

「……皆は？」
「もう帰っちゃったよ」

ついさっきね、と続ける綱吉に「そうなんだ」と呟くAは無意識に前髪を整えた。すると綺麗に片付けられた部屋が視界に入り目を見開く。

「ごめん！後片付けも手伝うつもりだったのに」
「気にしないでよ。それにAは今日の主役でもあっただろ？」

綱吉の言葉に「ありがとう」と返しながら側にあった荷物を手に取る。ポツポツと地面を跳ね返る雨の音が聞こえてきて、本降りになる前に沢田家を出ようと「私も帰るね」と笑いかけたときのことだった。

窓の外が一瞬青白い光に包まれる。何事かと振り返るとドォンッと久しく聞いていなかった雷鳴が激しく轟いた。

Aはその音にビクッと肩を震わせ目を見開く。心臓が止まるかと思った。恐怖で立ちすくみ、震えた指先を押さえるようにして表情を保つ。感情を悟られぬよう強引に足を動かした。「じゃあ帰るから」とリビングの扉を開けて玄関口に靴を履きにいく。

「A待ってよ。傘は？この雨の中濡れて帰る気なの？」
「すぐそこだから平気」
「俺、送るから待ってよ」
「いいって、寒いし風邪引かれても困る」
「それは俺の台詞だって！」

玄関先で軽い言い合いをして、次の雷がなる前に帰ろうとAが扉を開ける。すると、引き留めるように綱吉がその腕を掴んだ。「もう少し雨が止むのを待ってもいいだろ？」と声をかけられ、先程より雨脚が強くなっていることに気が付く。

「早く帰りたいから」とAが綱吉の腕を引き離そうとした瞬間、フラッシュをたいたような光が辺りを照らし、直後家が揺れるような破裂音がその場に響き渡った。

その恐怖に耐えられなかったAは、藁をも掴む思いで側にいた綱吉にしがみついた。突然、震えた身体を預けられた綱吉の「A？」という驚いた声に反応する余裕もなく、立て続けに響く雷鳴に耐える。

「…………もしかして、まだ雷が怖いの？」

綱吉のその言葉ははっきりとAの耳に届いていた。しかしプライドや恥ずかしさが勝り、認めるのが悔しいとばかりに無視をする。それを理解したのか否か「雨が落ち着くまでここにいなよ。鳴り止むまで隣にいるから」と続けた綱吉に、Aは泣きそうな顔を隠しながら小さく頷いた。