【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ21)

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221．こいつは俺が起こすんでページ21

「そっか、私、明日誕生日だった……」

Aが呆然としながら呟くと、京子はサプライズ成功とばかりに「去年の分もたくさんお祝いしようって、ずっと前からツナ君と計画立ててたんだー！」と首を軽く横に傾けてにっこり笑う。

その言葉にAは、自分が綱吉と京子の親しげな様子を目撃して、何度も嫉妬して目をそらしていたことを思いだした。今更になってあの2人の笑顔の意味に気付き、大切な親友と大切な幼馴染の優しさに泣きそうになる。

「……ありがとう、本当に嬉しい」

勝手に誤解して、嫉妬して、純粋な2人に醜い感情を向けていたことを謝ろうと『ごめんね』という言葉が出かかったが、京子のキラキラと輝く瞳を目の前にして台詞を改め「幸せだよ」と笑顔を見せた。

それからは、祝福の言葉をかけてくれる皆に応えつつ、手作りのアルバムやプレゼントを用意してくれた京子達と話しているうちに時間は過ぎていった。

全員が催し物に盛り上がっている様子を一番後ろから眺めていたAは、皆の中心にいる綱吉の横顔をじっと見つめて『今日、話してない』と心の中で呟く。寂しさを感じたのもつかの間、慣れない大人数でのパーティーに疲れたのか、Aは気付けば眠りについていた。

「雲行きも怪しくなってきたし、そろそろお開きにしましょうか」

奈々の発言をきっかけに帰る準備を始めた一同。そんな中、隼人はAと一緒に帰るために彼女を探して思わず口元が緩む。「あいつ寝てやがる」と軽く笑って独り言をこぼし、無理やり起こして連れて帰ろうと足を進めると、そんな隼人よりも一足先にAの側に座り込む人物がいた。＿＿＿＿綱吉だ。

「あっ10代目！こいつは俺が起こすんで！」

綱吉の手を煩わせるわけにはいかないと考えた隼人が、壁際で膝を抱えたまま眠るAに急いで指先を伸ばす。すると、それを止めるようにして綱吉が隼人の腕を掴んだ。何が起きたのか、すぐには理解できなかった隼人は目を見開く。

「起こさなくても大丈夫だよ。あとで俺がちゃんと家まで送るから」

すやすやと眠るAの寝顔を見ながらそう笑った綱吉の言葉に何も言えない隼人は、少しの間をおいて「了解っス」と作ったような笑顔を向けた。

そんな2人の様子を遠くから見ていた炎真。彼の手元にあるダウンジャケットは、炎真の両手に握りしめられカシャカシャと擦れる音がする。アーデルハイトに声をかけられるまで、炎真はAの寝顔をじっと見つめていた。