【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ20)

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220．アホ牛の世話してねーでページ20

あれから暫くしてボンゴレやシモンのメンバーが集まった。買い出しから帰って来た綱吉の表情の暗さには気付いたものの、声をかけられずにパーティーは始まる。

「えっランボ君、ジュース混ぜちゃうの？」
「やだ！止めても無駄だもんね！でもAになら一口あげてもいいよ……」
「ありがとう、大丈夫だよ。ランボ君のジュースなんだから大切に飲んで」

ランボが色々な飲み物を混ぜている様子をハラハラと見守っていると、隼人から「アホ牛の世話してねーで、ちゃんと食えよA」と料理を取り分けた紙皿を渡される。「ありがとう」と受けとると、彼は綱吉に取り分けるために移動していた。

すると、先日のクローム歓迎会のようにモノマネ大会が開催される。前回よりも完成度の高い発表者のネタを微笑みながら見ていると「A、隣いい？」と声をかけられた。炎真だ。

例のあの日、涙を流して取り乱した姿を見せたことが恥ずかしくてAはあれから彼と話をしていなかった。気まずいとばかりに苦笑いを浮かべると、炎真は「聞いてよ。僕、またアウター裏返しにして着てたんだ」と告白する。彼の思いもよらない台詞に吹き出してしまい、それをきっかけに気付けば話に夢中になっていた。

「そろそろケーキ持ってきてもいいかな？」
「そうしましょう！」

楽しそうな笑みを浮かべる彼女達に気付き、手伝うつもりで立ち上がろうとする。すると『誕生日ケーキの準備のためにAを引き留めてほしい』と事前に頼まれていた炎真が彼女の手をパシッと掴んだ。

「炎真？」
「ご、ごめん。Aは座ってて、僕が行くから」

咄嗟にとはいえ、Aに触れた部分が熱くなったような気がして炎真は掴んだ方の手を握りしめる。Aが訝しい表情を浮かべた瞬間、部屋の明かりが消えた。

「ハッピーバースデー！」

突然のことに動揺していると、ろうそくの灯りが際立つ大きなホールケーキを持った京子達がキッチンから現れる。「ふぅってして、A」とAの目の前にケーキを置いた京子が笑った。

言われるままに息を吹き掛け、部屋の明かりがつく。直後、クラッカーの破裂音が部屋中に響き渡り思わず目を見開いた。火薬の匂いが広がる空間で複数の笑顔に囲まれたAは「……へ？」と気の抜けたような声をもらす。

「A、お誕生日おめでとう！」

彼女の台詞に続いて多くの祝福の言葉をかけられたAは、全てを察して京子に今にも泣きそうな顔を向けた。