【REBORN】最高の幸せ 5【沢田綱吉】 (ページ15)

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215．何かあったの？ページ15

休み明けの登校日。Aはまだ失恋の傷が癒えていなかったが、欠席の連絡も億劫で、しぶしぶ教室に向かっていた。

悩みの種である綱吉や京子に会って平常心を保てるかわからない。綱吉の顔を頭に浮かべると条件反射で涙が勝手に流れるくらい重症だった精神状態は、休日の間に、涙をとどめられるくらいまで落ち着いていた。

Aの悩みはそれだけではない。炎真に初めて自分の取り乱す姿を見せたことをずっと後悔していたのだ。「おはよう」とクラスメイトに挨拶を返しながらAは教室に入り、席についてすぐに机に伏せる。

「A、おはよう！」

そのタイミングで教室に入った京子は、いつものようにAの席を確認して、彼女が座っていることがわかると嬉しそうに目を輝かせた。京子が真っ直ぐに彼女の席に駆け寄って声をかけると、顔をあげたAの表情は暗く、血の気が引いていた。

「……京子、おはよう」
「A、どうしたのその顔！大丈夫？」

その顔色の悪さに心配が隠せない京子は、Aの顔を覗き込み、眉を下げて背中をさする。「保健室に行ったほうがいいんじゃ……。心配だから私も一緒に行くよ」と続けた京子に、Aは「大丈夫。ありがとう」と身体を起こして笑いかける。

「あまり眠れなかっただけだよ」
「えっ！何かあったの？」
「…………全然！もうすぐ冬休みだから、何しようかなって考えてたの」

Aは何度も鏡の前で練習した自然な笑顔を心掛けた。完璧なその表情に、不自然ともいえる涙が滲んでいることに、本人は気付いていない。京子は、自身の大切な親友のその瞳を見て、目が充血しちゃうくらい寝ていないのかと判断した。

「ならよかった！楽しみがあると眠れなくなるよね！」
「うんうん」
「もしかして古里君とも遊ぶ予定たててるの？」
「…………どうして炎真？」

「ん？一昨日も一緒にいたから、また2人で遊ぶのかなぁって思って」と続けられた台詞にAは言葉を失う。一昨日、それは炎真と綱吉達を目撃した日。どの場面で私達のことを見たのかと冷静に考えながら「どうだろう」と笑う。

「本当はあの日Aも誘ってハルちゃん達と公園に行こうとしてたんだけど、2人の邪魔しちゃ悪いから連絡しなかったんだぁ」
「ごめん、今度は私も行くから」
「うんうん！」

Aは彼女といつも通り話せることに安心して気を緩めていた。＿＿＿＿「そのとき、ツナ君もね」と笑顔で続ける京子の言葉を聞くまでは。