【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ41)

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191．まぁ、幼馴染だからページ41

翌朝、炎真はモヤモヤとした不思議な気持ちを抱えながらAの病室へと足を進めていた。

ふと、昨日の記憶を思い出す。Aが意識を取り戻したと連絡があったのは夜のことだった。僕が帰ったそのあとすぐに目を覚ましたと聞いて、やっぱり彼女が起きて一番に話すのはツナ君なんだと痛感したことは記憶に新しい。僕も時間ギリギリになるまで、もう少し彼女の側にいればよかったという後悔から昨夜は眠れなかった。

「失礼します」
「炎真！」

開いていた病室を覗き込むと、看護師と話しているAがいた。僕に気付いた彼女達は一言交えて話を終える。出ていった看護師の後ろ姿を見送りながら彼女に近付いた。

「A、よかった」そんな自分の震えた声に彼女は目を見開く。昨日、目を閉じていた彼女が動いているという感動と安堵から熱くなった目頭に力を込めて「よかった……」ともう一度呟いた。

「ごめんね心配かけさせて。綱吉からお見舞いに来てくれたって聞いて、ずっとお礼が言いたかったの」
「いいのに、そんなの」
「ありがとう炎真」

Aにふわりと笑いかけられるだけで、今朝までの嫌な感情がすぐに消えてしまうのは何故だろう。心が温かくなる彼女の声をもっと聞きたくて話題を探していると「炎真、もう体調は大丈夫なの？」と声をかけられた。

「僕の？」
「うん。炎真が運ばれた日、クロームちゃんの付き添いで私も病院にいたから」
「そうなんだね」
「大怪我してなさそうで少し安心したよ」

心配そうな表情の彼女に僕が「身体は丈夫な方なんだ」と笑いかけると、Aは「なにそれ」と口元に手を当てながら可笑しそうに笑う。そんな彼女の表情がとても魅力的で、その顔好きだなぁ、と普段は考えないようなことを思ってしまった。

「……綱吉は？」
「あとで来るみたいだよ」

「へぇ、そうなんだ」と嬉しさを誤魔化すように笑った顔を慌てて隠すA。その様子に思わず言葉を失った炎真は、無言の時間が辛いとでもいうように「ツナ君、Aのこと心配してたよ」と慌てて笑いかけた。

「私の怪我が自分のせいだって思い込んでたしね」
「ツナ君は、それくらいAのことを大事に思ってるんだよ」
「……うん。まぁ、幼馴染だから」

『幼馴染だから』その台詞を彼と彼女の口から聞くのは何度目だろう。どこまでも似ている二人の言葉にズキズキと胸は痛むばかり。

せっかく二人きりなんだから、今だけは僕のことを見てよ……なんて。