186．何ニヤニヤしてんだ ページ36
アルコバレーノ達が代理戦争の真の目的について話し合うために席を外しているなか、綱吉は今まで本気で拳をぶつけ合ってきた
今度はこっちから仕掛ける、と翌日の作戦会議を終えた綱吉は並盛神社近くの芝生に背中を預けていた。京子ちゃん達が作り直してくれたお守りを眺めながら、ふとAの姿が見えなかったことを思い出す。
「……もしかして、このお守りAも一緒に作ってくれたのかな」
「何ニヤニヤしてんだ」
「ぎゃっ！」
リボーンがドンッと勢いよく上から頭に降ってきて思わず涙目になる。「っで〜！」とあまりの痛みに頭を押さえていると「暇そーだなツナ。やることはやったって感じか？」と声をかけられ「……ま、まぁな」と呟いた。
「……Aのことなんだが」
「Aがどうしたの？」
リボーンの表情に嫌な予感がして思わず顔が強張る。今日になって、1度も見かけていないAのことが妙に頭に浮かんで焦燥感が襲った。心臓が嫌な音をたてた瞬間、リボーンの言葉を聞いて目の前が真っ白になってしまう。
「Aは昨日、復讐者の闇討ちに巻き込まれたんだ」
「＿＿なっ、どういうこと！？」そんな自分の大声がその場に響き渡った。
どうしてAが。Aのことだけは巻き込みたくなかったのに。無事なんだよね。怪我とかしてないよね。……生きて、いるんだよね。
動揺が隠せないまま「何があったの」と無意識に下がったままの声で彼に問いかけると「家光達が襲われたときにAも攻撃されたみてーだ」とリボーンが表情を曇らせ口を開く。
「攻撃って、Aは！？」
「今は病院にいるゾ」
ふと“病院”という単語で昨夜のことを思い出す。クロームの病室から出たあと、お兄さんを待つ京子ちゃんに付き添うために残ったA。京子ちゃんと別れたらAは1人で暗い夜道を歩いて帰ることになるとわかってたはずのに、先に獄寺君達の待つ山本の家へ帰ってしまった。
「幸い、軽い怪我ってわけでもねーが命に別状はないらしい」
「Aは、Aはどこの病院に……っ」
「まぁ待て、ツナ」
リボーンは取り乱す俺の隣にちょこんと座って「Aは手術が終わってから意識が戻ってないんだ。まだ面会は厳しいと思うぞ」と呟いた。
＿＿俺があのとき、Aのことを家まで送り届けていれば。
ふと、感じてしまった後悔は簡単に拭えるものではなかった。
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作者名：√A | 作成日時：2023年7月6日 19時
