【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ26)

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176．……楽しみにしてるねページ26

翌日、炎真は朝からソワソワした気持ちを隠せないでいた。時計を見上げてAの家に向かうために玄関へ行こうとすると、その途中で朝帰りしたジュリーに声をかけられる。

「お！珍しいこともあるんだな！今日も出掛けるのか」と肩を組んできた彼のニヤニヤとした笑顔を見て、炎真はため息をついた。……厄介なのが帰ってきた。

「で、どうだったんだよ昨日のデートは」
「だから違うってば」

からかわれないように、とAの存在を隠してその場をやり過ごそうと歩き出す。そんな中、偶然その現場を通りかかったアーデルは、まるで思春期の息子とその父親を見ているようだと思った。

「知ってんだぜ？洋服だっていつもはテキトーなのに、昨日はアーデルに相談してたこと」
「……だって、おしゃれな友達だし」

ぼそっと呟いた炎真に目を丸くさせたジュリーは「可愛い子なら今度連れてこいよ～」と彼の頭をグシャグシャに撫で回す。すると、頭を押さえてジュリーから離れた炎真が「行ってきます！」とそのまま家を出ていった。

「ジュリー、炎真をあまりからかわないであげて」
「んー、炎真にも春かと思うとさぁ」

アーデルとジュリーが、玄関を飛び出していった炎真の背中を眺める。

そんなことを知らない炎真はというと、『途中まで迎えにいく』と彼女から来ていたメッセージに思わず笑みがこぼれていた。「別にいいのに」と独り言を呟いた瞬間「炎真！」と前方から声をかけられ顔をあげる。

「A」
「材料足りなくて、ちょっと買い足しに行ってた」
「そうなんだ」

昨日よりも笑顔が多いことを喜びながら、彼女の後に続いて家に入った。Aが用意してくれていたスリッパを見つめて、じんわりと胸が温かくなるのを感じながら「僕、ツナ君以外の友達の家で遊ぶのって初めて」と口を開く炎真。

そう、彼は今までファミリー以外に心を開いたことはなかった。沢田家光に家族を殺されたと誤解し、他のマフィアから蔑まれたとしても、ボンゴレへの復讐の為だけに生きる。

全ての元凶がDによるものだったと判明し綱吉達と和解してからは、いつの日か人を信じられるようになっていた。だからか、今は友達があまり多いとは言えない。

「じゃあ、食べ終わったらゲームしようよ」
「ゲーム？」
「友達とゲームで遊ぶの、楽しいんだよ」

「私も綱吉としかゲームはしないけど」と苦笑いするAに、炎真は少しの間をおいて「……楽しみにしてるね」と笑いかけた。