【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ3)

今日:10 hit、昨日:47 hit、合計:17,420 hit

153．……2人は仲良いの？ページ3

「……俺もAの髪型は見たよ」
「……っ」

少しの沈黙を破った綱吉の言葉に俯いたまま目を見開く。「似合ってたね」「うんうん！Aは何でも似合うから羨ましいよ」そんな彼女達の会話が頭のどこか遠くで聞こえた。いたたまれない気持ちになり息苦しい。

その後、奈々さんとスイーツの話がしたいと京子が席を外したことで空気の重さは尋常ではなくなった。ふと綱吉の匣兵器であるナッツと戯れている炎真を一瞥し、勇気を出して綱吉に声をかける。

「……私、ちゃんと断ったから」
「え？」
「付き合ってないからね」

綱吉がどう思っているのかはわからない。だけど、それだけは伝えたくて口を開くと、どんな意味があったのかわからないがホッとしたような表情で「……よかった」と綱吉が呟く。

そんな期待させるような発言にキュウと胸が締め付けられた。張り裂けそうな痛みに思わず泣きそうになり、誤魔化すように近付いてきたナッツをそっと撫でると、それまで黙っていた炎真がおもむろに口を開いた。

「……2人は仲良いの？」

疑問を感じても無理はない。もう幼馴染だと伝えてしまおうか、と口を開きかけた瞬間「2人は幼馴染なのよね！」と奈々さんの声がして視線を向ける。そこには話を終えたであろう京子と奈々さんが立っていた。

……あぁ、奈々さんも京子に劣らない重度の天然だったな。もっと早くに自分で炎真に伝えるべきだったと後悔する。ため息を我慢して「昔から親同士が仲良くてね」と驚いている炎真に笑いかけた。

「そうなんだ」
「あ！ナッツ君、古里君に懐いてる」

京子の言葉を聞いて彼を見ると、炎真はナッツと見つめあっていた。「なんとなく雰囲気も似てる気がするね」と笑うと、目があったナッツが突然私に飛びかかってくる。ぎゅっと抱きしめると可愛らしく鳴くその姿があまりにも愛おしくて、思わず頬が緩んだ。

「ナッツ君、私や古里君にも懐いてた感じだけど……Aは特別(・・)って感じだね」
「そ、そうかな」

確か、匣兵器は持ち主の深層心理と深い関係があると聞いたことような……。まさか綱吉が私のことを意識してくれているのかも、なんて何度目かわからないことを考えて勝手に高鳴る胸。つい最近振られたというのに、さっきの“よかった”発言で期待してしまって嬉しさが隠せない。

「＿＿家族って思ってるのかもしれないね！」

……そうだよね。わかってる。
京子の無邪気な笑顔に「そうかも」と笑いかけた。