【REBORN】最高の幸せ 4【沢田綱吉】 (ページ20)

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170．そんなんじゃないんだページ20

Aと俺は、いつも一緒だった。
毎日お互いの部屋を行き来して、学校のない日は2人でゲームをする。くだらない話で笑いあって、たまに喧嘩もする。“ダメツナ”と呼ばれる毎日でも、唯一俺の味方をしてくれるAさえいれば、それだけでいいと思っていた。

そんなある日の放課後のこと。Aと2人で帰っていると、クラスの女子グループが隣を通りすぎながらコソコソと小声で話をしていた。

「Aちゃん、またダメツナのお世話させられてる」
「幼馴染って言ってたよ、大変だよね」

人気者のAのことを、ダメダメの自分が独り占めできるという優越感を感じていたのは事実。しかしその瞬間、客観的に見ても俺は彼女と釣り合っていないのだと痛感させられた。

「綱吉、気にしなくていいから」
「え？」
「私が綱吉と一緒にいたいだけなの。だから、これからもずっと一緒にいてほしいな」
「……うん、ありがとうA」

どんなにAに優しい言葉をかけられても、そのとき感じた『幼馴染だから(・・・・・・)Aは俺の側にいてくれる』という認識は、なかなか消せるものではなかった。

＿＿＿＿そんな過去を思い出していると、目の前に座る炎真が「ツナ君？」と不思議そうに首をかしげる。我に返り「反省文、面倒くさいね」と苦笑いしながら、ふと今朝のことが頭を過った。

俺達はあのあと犬に追いかけられ、落ちてたバナナの皮で転んだり、運の悪い出来事が続いて一緒に遅刻してしまったのだ。今は、担任から放課後までに反省文を提出するように言われ、炎真と教室に残っている。

「Aのことなんだけど」
「えっ」
「僕、ツナ君がAの勘違いって言ってたのが気になってて」

その言葉を聞いて持っていた筆記用具を落としそうになった。「俺達はただの幼馴染だからね」と笑いながら呟く。

「でもAは違うかもしれないよ」と続ける炎真の言葉を遮るように「ずっと一緒にいたんだ。わかるよ、それくらい」と口を開いた。

「幼馴染の俺が京子ちゃんに告白したから、Aは寂しくなっただけ」
「……」
「炎真もシモンの誰かに恋人ができたら、少し寂しくなるんじゃないかな」
「……確かに」
「それに似てる感情だよ。＿＿Aは、そんなんじゃないんだ」

子供が巣立つときの親の気持ちみたいな、ずっと傍にいて当たり前の存在が離れていく寂しさって言うのかな。

これだけはわかる。
Aの気持ちは、恋愛感情じゃない。