【REBORN】最高の幸せ 3【沢田綱吉】 (ページ15)

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115．女の子が泣いてるんだとさページ15

「見つかりましたか？」
「ううん、いないの！もしかしてまだあそこに……」

むしゃくしゃしながらトレーニングルームへ向かおうとしたときのこと、笹川やアホ女が焦ったような表情を浮かべて何やら騒がしくしている場に居合わせる。Aの姿が見えねーな、と考えながらも「何かあったのか？」と声をかける。

「獄寺さん！Aちゃんが帰ってきてないんです」
「Aはツナ君が最後に会ったはずなんだけど、何か知らないかな？」
「！……10代目と？」

まだ河川敷にいるかもしれない、と今にも探しに行こうとする笹川を止めて「俺が行く」と声をあげる。あのAがアジトに帰らないなんて理由があるに決まっている。危険な目にあっていないとも限らない今、無事でいることを願うことしかできない。彼女達に最後に会ったという河川敷の場所を聞いてアジトを飛び出した。

「どうしたんだ？」
「女の子が泣いてるんだとさ」
「俺ちょっと見てこよっかなぁ」
「やめろよ、可哀想だろ」

言われた河川敷にたどり着くと、軽く人だかりができていた。まさか、と嫌な予感を感じて下を覗く男達を押し退けると、座り込んだAに声をかける数人の人間が集まっていた。

「おい！A！」思わず声を荒らげ駆け寄ると、彼女のそばにいた男女は「知り合いが来たみたいだ、よかった」と安心したように笑顔を浮かべる。それでもなお、彼女を取り囲むようにして好奇な眼差しを向ける人々に「てめえ等見てんじゃねーぞ！」とガンを飛ばした。

「何があった、A」
「……っ、ぅ」

辺りに人がいなくなったことを確認してから顔を覗き込む。両手で顔を覆った彼女の震え方からよほど傷つくことがあったのかと悟った。確か、笹川がAと最後に会ったのは10代目って言ってたような。考えられる可能性に思わず目を見開いた。

俺だと気付いたAは恐る恐る顔をあげて「はやと……」と目を合わせる。どれだけ泣いたのかと問いただしたくなるほどの赤くなった目元に驚いているとAは「はやと、隼人」と泣きながら飛び付いてきた。

「てめっ、おい！」
「隼人……」

俺の名前を呼んでばかりのAは、俺の服を両手で握りしめて泣き続ける。引き離そうとしても、少し感じてしまった嬉しいという感情が邪魔をして動けない。

好きな女が泣いているのに、俺はどうすればいいのかわからなくて「泣くんじゃねーよ」と目の前の小さな存在を優しく抱きしめることしかできなかった。