104．……やだなぁ、10代目！ ページ4
Aは俺の幼馴染なのに、と焦燥感が止まらないまま獄寺君の表情を見る。ビクッと反応した彼は「10代目……？」と驚いたように目を見開いていた。我に返り「ご、ごごごめん！」慌てて離れる。
「ふ、2人で一緒にいようが俺には関係ないのにね！あはは……」
「……」
「変なこと聞いてごめんね！」
変な空気にさせてしまい笑って誤魔化そうとすると、獄寺君は暫くの間をおいて「……やだなぁ、10代目！帰り道にバッタリあっただけっスよ」あいつもブラブラしてやがったんで偶然、と笑った。
直感で彼が無理して笑顔を作っているように感じた。幼馴染が誰といようと俺には関係ないはずなのに、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
あの日、Aが俺のことを好きだと告白してくれたのは正直嬉しかったけど未だにあれが現実だったのか受け入れられてない。……Aは、家族のような大切な幼馴染なんだから。なのに、獄寺君と二人きりでいる所を想像するだけで胸が苦しくなるのは何故だろう。
「そうなんだ！……よかった」
「……」
「じゃなくて！何でAが未来のこと知ってるの？」
未来のことは京子ちゃんやハルだけじゃない、Aにも伝えたくない気持ちは変わらなかった。俺よりもAと仲が良さそうな獄寺君。2人が普段どんな会話をしているのかわからないけど、うっかり話を滑らせたりしてないのかな……。
そんな俺の想像は全くの見当違いで、実際は10年後の雲雀さんがAを個別に呼び出し真実を伝えてくれたらしい。
「雲雀さんが……」
「詳しく聞いてないのでどこまで知っているのかわからないんスけど」
「大丈夫だよ、教えてくれてありがとう」
雲雀さんと聞いて浮かぶのは先日の戦いがあった日のこと。夜中に獄寺君の匣兵器である瓜を連れてきた彼の後ろにはAが立っていた。それだけじゃない、10年後の雲雀さんは「安心しなよ。10年前の人間に手を出すつもりはないから」と俺に言ったんだ。
考えてもキリがないとは理解しているつもりだけど、勝手に想像して胸が張り裂けそうになる。告白してきたのに何で避けるの、A。俺Aが何を考えてるのか全くわからないや……。
「ねぇ、獄寺君」
「なんスか？」
「……何でもない！修業も自分達の
「はい！」
“Aのこと、どう思ってる？”なんて。
＿＿訊いてどうするつもりだったのかな、俺。
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作者名：√A | 作成日時：2022年8月22日 13時
